MOMOYA

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プロジェクトのご紹介

慶大・DMC機構では、現在、川崎市市民ミュージアムが受託管理する(株)桃屋の放送開始以来のTVCMのデジタル化とタグの抽出、VOLUMEONEをプラットフォームにしたウェブ上での公開へ向けて準備をすすめております。「江戸むらさき」で知られる桃屋のTVCMは、昭和の歴史と日本人の生活文化の変遷を食卓に写す鏡とでもいうべきものであり、それぞれの時代の事象や流行、風俗の数々が散りばめられています。これらのCMをウェブで公開することにより、桃屋TVCMのファンはもとより、歴史研究者、美術家、批評家、財界人などで構成されたディスカッション・グループに見てもらい、こうしたTVCMのアーカイヴ映像から、どのような学術研究や時代考証の用途が考えられるかどうか、議論を重ねてゆこうと考えています。こうした地道な議論が、あちこちに眠る過去の映像素材の、特に美術館、博物館と学校における教育・研究分野での活用へとつながれば、チームの私たちにとっては幸いなことです。ブログ・ベースで議論を進めてゆく予定なので、一般の皆さんからコメントやCM放映時の思い出を寄せていただく機会も作りたいと思っています。

桃屋のTVCMは、すでに放送開始以来、五十年近くの歴史があり、当時の一般TV視聴者にとって、おそらく「常識」だったと思われる歌舞伎や落語、講談、あるいは「お座敷芸」といった、大衆の芸能や文化にちなんだ素材が多く見られます。これを芸達者な三木のり平さんが、三味線の音に合わせ、軽妙に演じておられるわけですが、それを解説抜きで今の時代の若者たちにどこまで理解してもらえるのか・・・。おそらく、国内においても、外国の方たちにするのと同じような、日本の文化や芸能の歴史についての解説が必要となるのではないでしょうか。当時を懐かしむ方々も多いでしょうが、これらを学校の授業で役立てながら、お父さん、お母さん、あるいは、お爺ちゃん、お婆ちゃんたちが生きた「昭和」という時代を振り返り、当時の社会や食生活、企業、働くこと、家族像のあり方などについて考えてみるのはTVCMに社会的な役割を与えることにもなり、どんな議論が飛び出すかが大いに楽しみです。

このサイトはあくまでも準備段階の「研究ブログ」ですので、タイトルや解説の内容はまだテンポラリーなものであり、皆さんのご指摘を受けながら精度を高めてゆくつもりです。いうなれば、このプロジェクトには桃屋CMもの知りWikiといった側面もあるかも知れません。現状で、データに欠番もありますが、問題を解決し次第、順次アップしていきます。基本的に、今回の使用目的では著作権上のコンフリクトが無い「のり平」アニメ・シリーズのすべてを公開する方針ですが、同時代の食卓風景、社会風俗を描いたドキュメンタリー風CM、及び、実演家が出演しているものについては、同時公開することによってコレクション全体の歴史的資料としての価値が高まることから、個別案件については弁護士さんと相談しながら公開の検討を進めています。その過程で、「消費材」ではない、教育・研究目的での資料としての映像コンテンツの「公共財」としての側面に光をあて、その社会的意義や商業利用とは異なってしかるべき公開ルールづくりの議論を喚起してゆければ幸いです。

川崎市市民ミュージアムの桃屋TVCMコレクション全218本は、1988年の川崎市市民ミュージアムの開館を記念して、「教育と研究のためにお使い下さい」ということで、(株)桃屋さんからご寄贈頂いたものです。同じデータセットはもう一組存在し、横浜市関内にある放送ライブラリーにも桃屋さんから寄贈されました。現地を訪れれば館内で視聴することが可能ですが、今回、慶大DMC機構がデジタル・オンライン化に使用したデータは川崎市市民ミュージアム所蔵のものです。

慶大DMC機構と川崎市市民ミュージアムは、収蔵されているさまざまな映像作品のデジタル化、保存、修復、及び、デジタル化されたミュージアム収蔵作品の活用方法についての共同研究を行うため、研究協力の覚え書きを2006年8月1日付で交わしています。

桃屋TVCM218-CM100選1991-国定忠治



時間:30秒
商品名:江戸むらさき
制作年:年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

CM100選1991

このCM作品は、1958年から放送されており、1991年に日本テレビコマーシャル制作社連盟の「昭和の名作CM100選」に選ばれたもの。また、1960年の同社CM『剣豪』編の後半30秒と同一作品である。三日月の輝く夜、「赤城の山も今夜限り」と右手で刀を抜き、見得のようなポーズを決める忠治。歴史上、忠治は赤城山南麓を盗区として実質支配していたと言われる。「ウマイぞ」というかけ声に、左手で額を叩いて照れていると、頭に海苔佃煮のビンが落ちてくる。夢中になってご飯を食べる忠治だが、「御用だ」と、たくさんの提灯に囲まれる。しかし、そのターゲットは忠治ではなく、海苔の佃煮であった。国定忠治は江戸時代後期の侠客。天保の大飢饉で農民を救済した人物として講談や映画などで題材にされ、新国劇では辰巳柳太郎が十八番としたことで有名。

ラベル:

桃屋TVCM217-1993-日中の才人



時間:30秒
商品名:搾菜(ザーサイ)
制作年:1993年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

中国の才人に言及しつつ「名高い野菜」として『榨菜』をアピールし、日本の歴史的人物の姿を通して『榨菜』の幅広い用途を紹介するこのCM。中国からは「天才」の孔明、「秀才」の孟子、「鬼才」の達磨、「異才」の楊貴妃。日本からは聖徳太子、在原業平、小野小町、織田信長が登場。その後に登場するのは、日米修好通商条約を締結したことで知られる初代駐日公使タウンゼント・ハリスと、その侍女お吉。聖徳太子がサッカーをしているのは、このCMが放映された1993年のサッカーブームを受けてのこと。5月にJリーグが開幕。10月にはワールドカップアメリカ大会のアジア地区最終予選で、いわゆる「ドーハの悲劇」が起きた。

ラベル:

桃屋TVCM216-1993-忍者



時間:30秒
商品名:つゆ
制作年:1993年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

舞台はニューヨークの街角。煙のなかから登場するのは黒装束のニンジャ、クロズキン。追い迫る車から容赦なく銃が発砲されるも、忍者は刀1本で弾丸を弾き返す。更には、右手に刀を構えたまま、左手で頭上からの落下物を防ぎ、右足で水の噴出すマンホールを踏みつける。すると、建物の壁の一角から七色頭巾が。今度は刀で手裏剣を弾き返しながら、忍者は「ダメダメ、黒くなくっちゃ守れないの」と七色頭巾を制止。ミサイルに狙われ、ちりぢりに逃げまどう七色頭巾。一方、忍者はミサイルに臆することなく、続く実写映像で、『つゆ』の美味しさを守る黒ボトルの効用をアピール。当時は、ショー・コスギ親子などの出演するアメリカの忍者映画が人気だった。

ラベル:

桃屋TVCM212-1992-お料理ふりかけ



時間:30秒
商品名:江戸むらさき海苔もかわった
制作年:1992年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

1990年の同社CM『世の中かわった』編の続編とも言える作品。舞台は雲の上のキッチン。『世の中かわった』編のキッチンと比べると、入り口に掛かっている暖簾のデザインが変わったほか、調理器具の上空に換気扇がつきグレード・アップ。また、キッチンに立つ神様は、本作品ではエプロンを着用している。実写映像では、ラーメン、炒飯、揚げ物、粥、サラダ、オムレツ、お吸い物、スパゲッティーなど、商品の応用例を紹介。それぞれの料理をクローズアップで映し出したあと、2分割や3分割、更には9分割画面で再度各料理を登場させている。1990年版とアニメーションの違いを見比べるのもおもしろいが、CM編集技術の変化に着目しても興味深い一作。

ラベル:

桃屋TVCM211-1991-OK牧場の逃走



時間:15秒
商品名:牛肉すき
制作年:1991年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

牧場で昼寝をしている牛に、蟹歩きで忍び寄る少女。牛が目を覚まして目をやると、少女は牛肉料理用たれのビンを片手に舌なめずり。柵に背中を引っ掛けながらも、慌てて逃走する牛と、それを追いかける少女。牛は二本足で走り去り、少女はつまずいて転んでしまう。「牛丼」、「肉じゃが」、「すき焼き」の3品を合わせた商品名に、「牛肉好き」というダジャレを活かした内容となった。BGMは1963年製作の米国コメディー映画『ピンクの豹』の主題曲として有名な、ヘンリー・マンシーニ作曲の『ピンク・パンサーのテーマ』をパロディー化したもの。また、CMのタイトルは1957年の米国西部劇映画『OK牧場の決斗』をもじったものであり、米国映画からの引用が多い作品となった。

ラベル:

桃屋TVCM207-1990-世の中かわった



時間:30秒
商品名:江戸むらさき海苔もかわった
制作年:1990年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

雲の上から、パラボラアンテナ付きのモニタで世の中を観察する神様。画面には、宇宙に浮かぶ地球とスペースシャトル、人工衛星が。モニタ画面がアップになり、赤ん坊を背負って布団干しをする夫が映る。テニスのユニフォーム姿で、片手にラケットを持った妻が、洗濯物かごを夫の傍らに置く。続いて、電車のなかではサラリーマンがマンガを読み、その隣では株式新聞を広げた少年が電卓を叩く。ドアの前では、仲良く手を繋いだ小学生男女の姿。再び場面は雲の上。モニタ画面には実写映像の『江戸むらさき海苔もかわった』と「佃煮でも、焼き海苔でもない」素材が映し出されて、アニメ映像の神様が瓶を片手に、雲の上のキッチンで大はしゃぎ。

ラベル:

桃屋TVCM206-1990-オリゴの塔



時間:30秒
商品名:江戸むらさきOcaさん鉄だって
制作年:1990年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

1980年代中盤から続く「ファミコン」ブームのさなか、このCMが放映された。1990年、人気シリーズの『ドラゴンクエストⅣ』が発売され、CMにもRPGの世界が登場。舞台は宝の眠る「オリゴの塔」。ピコピコという音とともに、攻撃や落とし穴をかわして進む少年。目の前に立ちはだかる「Ca」という文字を足場に、壁に開いた穴へ飛び込む。宝箱の上に尻もちをつくと、胸に「鉄」と書かれた甲冑の騎士が登場。扉を開けると、そこには輝く瓶の山。少年が1つ抜き取ると、その山が崩れ落ちる。テレビのなかから顔を出し、助けを呼ぶ少年。駆けつけたお母さんが、床に転がる『江戸むらさきOCaさん鉄だって!』の瓶を拾い、音楽に合わせて踊る。

ラベル:

桃屋TVCM205-1989-やさしいお母さん



時間:30秒
商品名:江戸むらさきごはんですよ!
制作年:1989年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

山間にたたずむ、1軒のわら葺き屋根の家。朝もやのなか太陽が昇り、鶏が鳴く。布団のなかで眠たそうにあくびをする男の子。奥の台所では、お母さんが竹筒でかまどの火を吹き、飯釜からは湯気が立ち昇っている。やさしく男の子の頭を撫でて、起こしてくれるお母さん。ここまでは、絵本のような画風で描かれているが、一転してのり平アニメの世界では、布団をはぎ取り、ベッドを持ち上げて、寝ている夫を床へ落とす妻。夫は尻もちをつきながらも着替えをして、最後に背広に袖を通して、朝食が用意された食卓に。妻が『江戸むらさきごはんですよ!』の瓶を置くと、家族はみんな大喜び。妻の起こし方は冷たくとも、食卓には「あったかぁい家庭の味」が。

ラベル:

桃屋TVCM197-1988-プチボトルシリーズ



時間:30秒
商品名:江戸むらさき梅干しのり他
制作年:1988年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

前半は穏やかなBGMにのせ、実写映像のみの構成。茶碗の白いご飯にのせられた梅干、帆立の貝柱、七輪で炙られるスルメイカ、そして身の詰まった辛子明太子と、プチボトルシリーズ商品で海苔の佃煮と混ぜ合わせられる食材が次々に映し出される。和え物、オードブルから、しその葉の手巻き寿司まで、商品の活用例も実写で紹介。クラッカーの効果音とともに賑やかなBGMに切り替わり、後半のアニメーションでは5人の若い女性が肩を並べてダンス。黄色や水色、ピンク色の星型照明が輝くステージで商品が紹介される。これは、バブル経済期当時の高級ディスコブームを反映していると考えられる。若者の間では、麻布十番をはじめとする『マハラジャ』チェーンや『青山キング&クイーン』が人気であった。

ラベル:

桃屋TVCM195-1988-すもう・野球



時間:30秒
商品名:江戸むらさきいただきます
制作年:1988年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

満員御礼の大相撲。巨漢の力士に追い回されるのり平力士だが、土俵際で相手の背中を叩いてはたき落とす。別の取組では、立合いと同時に突進してくる相手力士をかわして、ガッツポーズ。土俵に投げ込まれるトロフィーと米俵、そして『江戸むらさきいただきます』。ごはんと海苔の佃煮の実写映像の後、プロ野球中継のアニメに。ドーム球場で投球フォームに入るピッチャーと打球を待ち構えるバッター。両者の目には『江戸むらさきいただきます』が映る。続いて、実況解説中のアナウンサー。大入り袋からも佃煮の瓶が。最後は再び実写映像。1988年、大相撲では小錦関が外国人力士初の大関昇進。後楽園球場は日本初の屋根付き球場、東京ドームに。

ラベル:

桃屋TVCM194-1988-新婚・アイドル



時間:30秒
商品名:江戸むらさきいただきます
制作年:1988年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

新婚編とアイドル編の2部から構成されるCM作品。列車に揺られる新婚旅行中の夫婦。靴を脱いでシートに正座している新郎が花嫁の頬に口づけをしたいとお願いすると、新婦はすかさず海苔佃煮のビンで新郎の口を塞ぎ、素早く新郎の頬に数回のキス。顔が口紅だらけの新郎は照れ、眼鏡がずり落ちる。夕暮れの車窓に映っているのは、1988年に開通したばかりの瀬戸大橋。白いご飯と海苔の佃煮の実写映像で区切りが入り、続いてアイドル編。いくつもの照明が光るステージ上に、マイク片手に現れたのは、黄色のリボンで髪をポニーテールにまとめた、赤いジャケットに白いミニスカートの女の子。客席に近寄り、花束と佃煮のビンをファンから受け取る。この当時は、南野陽子、浅香唯、斉藤由貴、光GENJIらアイドルの全盛期であった。

ラベル:

桃屋TVCM193-1987-水墨画



時間:30秒
商品名:穂先メンマやわらぎ・メンマ
制作年:1987年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

冒頭は水墨画で描かれたような風景。岩山を背景に、林のなかで盃を交わす2人の男。夜空には満月が。水墨画のなかの2人の男にズームイン、のり平アニメの世界が始まる。穏やかな表情で『穂先メンマやわらぎ』を賞賛するのは、字幕のとおり「こよなく酒を愛した詩人、李白」。一方、首を横に振りながら、険しい表情で『味付メンマ』を擁護するのは、「こよなく旅を愛した詩人、杜甫」。ちなみに、李白は詩仙、杜甫は詩聖と称され、両人とも唐の時代を代表する詩人。2人がテーブルをはさんで立ち上がり、にらみ合っていると、そこへ「名軍師、諸葛孔明」が登場。2人の間に割って入り、口論を仲裁。最後の場面では、3人が仲良く盃を交わす。

ラベル:

桃屋TVCM190-1986-エスニック



時間:30秒
商品名:キムチの素・カクテキの素
制作年:1986年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

白の背景色の中心から丸く広がる赤い枠の小窓。その中の男性が食べたものの辛さに顔を赤くして咽ていると、小窓の中がまるで日の丸のように真赤に染まる。実写映像に切り替わると、キムチの素のビンが登場し、調理の応用例を紹介。まずは、塩漬けの白菜ときゅうりに液体をかけてキムチの完成。続いて、フライパンで炒められている野菜にキムチの素で味付け。この部分には同社の同年CM作品『調味料シリーズ』と同じ映像が使用されている。出来上がった野菜炒めや鶏肉炒めが皿に盛り付けられ、エスニック料理として紹介。アニメーションが挿入され、涙をこぼしながら髪を逆立てて辛さの刺激に酔う男性が描かれる。商品の辛さをアピールした同作品の最後には、「辛さおさえて甘ずっぱい」とカクテキの素もあわせて宣伝。

ラベル:

桃屋TVCM189-1986-調味料シリーズ



時間:30秒
商品名:つゆ他
制作年:1986年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

実写映像で調味料の使用例が次々に紹介され、アニメで登場するのは妻が留守の台所で一人料理をする夫のみ、という商品の便利さや多様性を前面に押し出した作品。まずは、すき焼き、おでん、鍋物が、湯気を出しながらグツグツ煮えている実写映像でつゆの紹介。続いて、昆布だしの湯豆腐に、柚子唐辛子が添えられる。ここまでは、日本の食文化の紹介映像さながら。次に、茹で上がったもやしと、皿の上に盛り付けられたナムルが登場。野菜炒めのフライパンにキムチの素が注がれ、エスニック料理が完成。アニメーションが挿入され、「母さん留守でも安心ね」と台詞が入る。これは、1986年の流行語となった大日本除虫菊株式会社(KINCHO)CMにおける「亭主元気で留守がいい」を意識したと考えられる。

ラベル:

桃屋TVCM185-1986-チルチルミチル



時間:30秒
商品名:江戸むらさきハ長調
制作年:1986年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

モーリス・メーテルリンク作の童話劇『青い鳥』の主人公兄妹、チルチルとミチルが登場するパロディー作品。暗い森の中を「幸せの青い鳥」ならぬ「幸せのおいしい味」を探してさまよう2人。森を抜け、花咲く草原に出ると、そこには色とりどりの蝶と音符が舞う。チルチルが蝶々を捕まえようとして池に落ちそうになる一方、ミチルが見つけた白い大きな蝶々は草に止まり、海苔佃煮のビンに変身。おむすびを片手に佃煮を食べたチルチルは、蝶のようにフワフワと空中を舞う。「鳥」でなく「蝶々」が登場するのは、商品名「ハ長調」のダジャレ。パステルカラーで彩られた背景画が、パロディーらしからぬ幻想的な雰囲気を醸し出している。当時、1983年出版の清水将之の著作本や、1985年出版の河野やす子のコミック本などで、『青い鳥症候群』という言葉が世間に広まっていた。

ラベル:

桃屋TVCM184-1985-巌流島



時間:30秒
商品名:江戸むらさき生のり特級 帆立貝柱
制作年:1985年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

時は江戸時代に入って間もない慶長17(西暦1612)年。琵琶で奏でられるBGMとともに、佐々木小次郎との巌流島の決闘へ向かう宮本武蔵が登場。「いざ巌流島へ」と砂浜で意気込む武蔵だが、舟が波にさらわれてしまう。波打ち際まで追いかけ、「のりおくれ」と必死で舟に呼びかける武蔵の頭に、海苔佃煮のビンが2つ落下。これは「乗り遅れ」と「海苔をくれ」のダジャレ。武蔵はビンを両手に大喜び。浜辺の蟹と一緒に、蟹歩きで踊りまわると、頭に巻いていた白い鉢巻が月桂冠に変わる。最後の場面には、ロングショットで青い海に浮かぶ巌流島の姿が描かれている。巌流島は、山口県下関市の関門海峡に浮かぶ無人島の小島。正式な名を船島という。

ラベル:

桃屋TVCM183-1985-ふるさと便



時間:30秒
商品名:木ノ子釜めしのたね
制作年:1985年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

ビルに囲まれた、1軒の古びたアパート。部屋の窓が開き、青年が顔を出す。洗濯物を干し、外を眺めて故郷に思いを馳せる一方、部屋のなかで、軽快な音楽に合わせてダンスを踊る。そこに「ふるさと便」が到着。窓から『木ノ子釜めしのたね』の瓶が投げ込まれる。玄関では伝票を手にした配達業者が印鑑を要求するが、飛んできたのは炊きたての釜めし。「しめじ、ひらたけ、しいたけ、松茸、きくらげ」と、具の説明のナレーションが入る。配達業者が釜めしの匂いに酔いしれていると、若者がすかさずそれを取り上げて、食べ始める。1970年後半から1980年代前半にかけて、東京、原宿の代々木公園横の歩行者天国では、若者たちによる「竹の子族」が流行。

ラベル:

桃屋TVCM182-1985-映画監督



時間:30秒
商品名:つゆ
制作年:1982年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

映画の撮影現場。手紙を読んで驚き、着物の袖を噛んで泣くという演技をする綺麗な女優さん。「カットカット!」と監督の怒声が飛び、NGに。「何だいその演技は」とダメ出しする監督。逃げるスタッフ。続いて『つゆ』の瓶が女優に投げつけられるが、彼女は木の鍋ぶたで身を守る。弾き返された瓶は監督の頭に。『つゆ』を手にした監督は機嫌を直し、セットに並べられた鍋やどんぶりに『つゆ』を注いで回る。一方、コンパクトを手に化粧直しをする女優。監督が「君、僕の奥さんになっちゃう?」と瓶にキスをしながらプロポーズすると、女優の顔がのり平風の花嫁に変身。ウェディングドレス姿で監督に抱きつき、セットに紙ふぶきが舞う。

ラベル:

桃屋TVCM181-1985-福沢諭吉



時間:30秒
商品名:焼肉のたれ上下
制作年:1985年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

一万円に印刷された福澤諭吉の肖像。その顔、姿、背景がアニメーションに変わり、のり平風の諭吉が1つ咳払いをすると、場面は教室に。壁には世界地図。『學問ノススメ』を前に広げ、諭吉が子供たちとPTA会長を前に、「天は人の上に人をつくらず」と語る。子どもの口答えに諭吉がムッとすると、『焼肉のたれ上下』が飛んでくる。鉢巻を締め、襷をかけた諭吉が、「下のたれ」をかけて肉に味付けの下ごしらえ、続いて七輪で焼いた肉に「上のたれ」をつけてPTA会長に「召し上がれ」。おいしそうに肉を食べるPTA会長。最後は『焼肉のたれ上下』の実写と、諭吉とPTA会長のアニメの合成映像。1984年、新札の発行により一万円札の肖像が聖徳太子から福澤諭吉に。

ラベル:

桃屋TVCM169-1983-冷や奴



時間:30秒
商品名:豆腐料理
制作年:1983年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

和室の襖が開き、顔を出す赤い着物姿の売れっ子芸者。その名も「冷や奴」。畳に両手をついて上品にお辞儀をしたかと思うと、立ち上がって足を広げて踊り、三味線をギターのように弾き始め、最後に袂から皿に盛り付けられた豆腐を取り出してポーズ。すると、別の襖が開き、屏風の前でポーズを取るパステルカラーの着物を纏った3人の若い芸者が登場。水色の和服を着た芸者は「五目あんかけ」、ピンク色の芸者は「中華風トマト煮」、クリーム色の芸者は「洋風カレー煮」の豆腐料理の素をそれぞれ手にし、3人並んでポーズを取る。売れっ子芸者の「冷や奴」は着物の袖を噛んで悔しがるも、揃って腰を振り踊る3人組の若い芸者を前に、芸者島田のかつらを脱帽。豆腐料理の種類をそれぞれ芸者に擬人化したユニークな作品。

ラベル:

桃屋TVCM168-1982-花屋さん



時間:30秒
商品名:花らっきょう・花福神
制作年:1982年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

らっきょう漬けと福神漬けの両商品名につけられた「花」という言葉がキーワードの作品。30秒の尺の中に、「鼻歌」、「鼻の差」、「鼻の先」、「花の金曜日」といった台詞や、「花占い」、「花束」などの描写が目白押し。冒頭のシーンで、和室に正座しお茶を立てる着物姿の若い女性が、袂からヘッドフォンを取り出し音楽を聴き始める。これは、1979年にソニーが発売し、若者文化に大きな影響を与えた携帯型ステレオカセットプレーヤー『ウォークマン(WALKMAN)』を意識したものと考えられる。また、ビルの立ち並ぶ道路で、通風口に立つ女性のスカートが風で吹き上げられるシーンは、1955年の米国映画『七年目の浮気』における主演マリリン・モンローのパロディー。

ラベル:

桃屋TVCM165-1983-星座




時間:15秒
商品名:江戸むらさきオ!ECデス
制作年:1983年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

夕暮れ時、田舎の丘に立つ一人の少年と狸の親子。少年が空に向かって「オーイ」と叫ぶと、夜空に「E」と「C」の文字が星座のごとく現れて輝く。次のシーンでは、白昼堂々、唐草模様の風呂敷包みを背負い、人家の勝手口をコソコソと覗く泥棒。警官が「オイ!」と声を掛けると、泥棒は人差し指を口に立て、「シーッ」と言いながら振り返る。相手が警官だとわかった瞬間、泥棒は大慌てで逃走。捨てられた風呂敷包みがほどけ、中から海苔の佃煮のビンが。続いて登場するのは、『忠臣蔵』の大石内蔵助良雄。「大石です」と自己紹介。3つのストーリーによるオムニバス仕立てで繰り返される商品名「オ!ECデス」は、「おいしい」という言葉に、ビタミンEの「E」とカルシウムの「C」をかけたもの。

ラベル:

桃屋TVCM164-1983-オ!EC物語




時間:30秒
商品名:江戸むらさきオ!ECデス
制作年:1983年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

海外を思わせる街並みに立つ、白いスーツを身にまとった金髪の若い男性。視線の先に現れたのは、ピンクのスカートに薄いブルーのジャケット、ブラウンの髪をポニーテールにした女の子。たばこを吸いながら気取る男性の横を、知らん顔で通り過ぎる。男性はあきらめずに追いかけるも、女の子は「しつこい人、大キライ」と拒否。すると、男性は『スーパーマン』風のヒーローに変身し、更なるアプローチをかける。ちなみに、1978年の米国映画『スーパーマン』、1981年の『スーパーマン2-冒険編』に引き続き、この年には『スーパーマン3-電子の要塞』が公開された。いずれも主演はクリストファー・リーヴ。また、1980年代から1990年代にかけてのバブル景気時には、ディスコを中心に若者の間でナンパが流行していた。

ラベル:

桃屋TVCM163-1981-一夜漬け




時間:30秒
商品名:すぐつかーる
制作年:1981年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

勉強の「一夜漬け」と漬物をかけた作品。部屋の机に座り、一夜漬けで試験勉強をしているセーラー服姿の女学生。振り向いて足を組み、机の上に置かれていた学生カバンを手に取って逆さにすると、教科書やノートがバラバラと落ちてくる。覚えきれない、と女学生がその多さに嘆いていると、頭に漬物石が落ちてくる。同時に、母親のような女性の手が画面に現れ、商品を紹介。「すぐ漬かる」ことに感動した女学生は台所に立ち、包丁でリズミカルに大根やきゅうりをカット。続く実写映像では、薄切りの野菜に商品がかけられ、「60秒から60分」で漬物が完成する様子が映し出される。漬物の100点満点の味に喜ぶ女学生だが、最後の場面では勉強の「一夜漬け」を再開。頬杖をつき、「数学用が欲しい」とぼやく。

ラベル:

桃屋TVCM162-1981-つゆづくし




時間:30秒
商品名:つゆ
制作年:1981年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

とある学校の教室。教師がチョークで黒板に「つゆ」と書きながら、生徒たちに向かって「つゆと言っても、いろんなつゆがあるのよね」と説明を始める。教師は黒板横の壁に掛けられたスクリーンを広げ、教室を暗くし、投影された映像を使って、「露」や「梅雨」、そして商品名の「つゆ」といった同音異義語を解説。このシーンからは、当時の学校における視聴覚教育の様子がうかがえる。後半は実写シーンに変わり、ひやむぎ、きしめん、冷やそうめんが「つゆ」の用途として紹介される。ちなみに教師の口調は、TBSラジオの長寿番組『全国こども電話相談室』で放送開始の1964年から28年間にわたりレギュラー回答者を務めた無着成恭を真似たもの。

ラベル:

桃屋TVCM161-1981-川柳




時間:30秒
商品名:江戸むらさきごはんですよ!
制作年:1981年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

ある家族における朝昼晩の日常から、5つのエピソードをジョークの効いた川柳で紹介。朝、父を優しく揺り起こす母。次第に表情が怖くなり、掛け布団を叩きはじめ、最後は強引に布団を剥ぐ。昼になり、母が手を休め、テレビドラマを見ながらご飯を食べていると、ランドセル姿の息子が帰宅。続いて夕食前、階段に座って長電話をする娘に、父が新聞で即席のメガホンを作り邪魔をする。午前一時、受験勉強をする鉢巻姿の息子に母親がおにぎりを差し入れ。向かいの家の窓にうつる受験生のシルエットも、一時きっかりに休憩。食卓では、酔っ払った午前様の父親に夜食を出しつつ、角を出して怒る母。当時の一般家庭の生活文化や、家族同士の繋がり方が垣間見える作品。

ラベル:

桃屋TVCM160-1981-大家さん




時間:30秒
商品名:だし
制作年:1981年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

長屋の前をゆったりと歩く大家さん。突然障子戸が開くと、その家の女房が飛び出してきて尻もち。居眠りをしていた猫は飛び上がり、大家も目を丸くして、何があったのか尋ねる。女房の回想シーンでは、鍋をはさんで、だしについて喧嘩をする夫婦。夫が拳を振り上げると、妻は鍋のふたを盾に応戦し、夫の手首を掴んでひねりあげて、畳にへこませる。煙草を吸いながらそれを聞いていた大家はあきれ顔。懐から『だし』の瓶を取り出して、女房に渡す。お盆の上に並ぶ4種類の瓶。お辞儀をする女房を背に、満足げに立ち去る大家。長屋から昇る煙には『だし』の瓶が浮かんでいる。ちなみに、この30秒なかで「だし」という言葉は16回も使われている。

ラベル:

桃屋TVCM158-1981-社長のキムチ




時間:30秒
商品名:キムチの素
制作年:1981年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

朝鮮民謡『アリラン』の替え歌とともに、実写映像で一日の食事におけるキムチの素の活用例を紹介。朝食にはサラダのドレッシング代わりに。昼食では、大根を漬けたカクテキをお茶漬けのお供に。夕食には、焼肉の付け合せとして白菜のキムチ。ここまでの場面切り替え効果には、時間の経過を示すのに有効なクロックワイプが採用されている。場所は家庭から会社へ変わり、続く「本当に、うれしいですね」の台詞は、当時の株式会社桃屋代表取締役社長、小出孝之氏による声の出演。ちなみに、実写映像で登場する社長室の扉も同社内で撮影されたもの。最後のシーンでは、ビンの周りをアニメーション合成の従業員たちが楽しそうにダンス。商品ブランドではなく、企業としての桃屋が登場するめずらしい作品となった。

ラベル:

桃屋TVCM154-1980-頭は使いよう




時間:30秒
商品名:五目寿司のたね
制作年:1980年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

古びたアパートの一室で床に寝転ぶ若い男性。上半身を起こし、テレビに流れる桃屋のり平アニメCMシリーズ『角兵衛獅子』編に見入ると、五目寿司のたねのビンを鼓の代わりにして叩き、更には立ち上がってポーズを決める。劇中劇ならぬ、CM中CMがおもしろい。続いて実写映像。お茶碗の白いご飯の上にビンの具をそのままのせ、「五目ごはん」が完成。玄関チャイムの効果音が入るとアニメーションに戻り、主人公は突然の来客に困る主婦へ交代。再び実写映像となり、たねの具が小鉢に盛り付けられ、「お酒の肴」に。次のシーンでようやく、しその葉を巻かれた小鼓形や三角おむすびの「五目寿司」が登場。料理の材料としてだけでなく、出来合いの惣菜としての商品価値をアピールした作品。

ラベル:

桃屋TVCM153-1980-思い出のフォーク




時間:30秒
商品名:江戸むらさきごはんですよ!
制作年:1980年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

一見オムニバスに見えるが、冒頭のアルバムが示すように、ある学生カップルが家庭を築くまでのエピソードをヒット曲に載せて綴ったストーリー性のある作品。一曲目に、1972年GAROの楽曲『学生街の喫茶店』。喫茶店のテレビにはのり平アニメでおなじみの国定忠治。窓の外が徐々に暗くなり、夜が来るも、カップルはお互いに夢中。次に1963年坂本九の『見上げてごらん夜の星を』。カップルは夜霧の中、肩を寄せ合って歩く。続いて、はしだのりひことクライマックスの1971年『花嫁』。カップルはそれぞれ白無垢と袴に身を包み、ついに結婚、夫婦へ。回想シーンのラストは、1972年長谷川きよしの『黒の舟唄』。食卓で激しく夫婦喧嘩をする2人を、赤ん坊が制止する。最後の台詞「幸せだなあ」は、1965年加山雄三の『君といつまでも』から引用。

ラベル:

桃屋TVCM152-1980-野球




時間:30秒
商品名:いか塩辛
制作年:1980年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

晴れた空の下、グラウンドでノックを受ける坊主頭の高校球児。気合を入れて追いかけるも、監督の打つボールを捕らえられない。文句を言うと、いか塩辛のビンが飛んでくる。驚きつつも、少年は真正面でキャッチ。夕焼けの空を仰いで、母親を思い出し、涙する少年。手元のビンが一瞬優勝カップに変わる。決意を新たに、日の暮れたグラウンドで少年の練習は続く。監督がユニフォームの背につけている「9.0」は、1980年にプロ野球チーム読売ジャイアンツの監督を引退した長嶋茂雄氏の背番号90をもじったもの。また、同年の全国高等学校野球選手権大会、通称夏の甲子園では愛甲猛投手の横浜高校が、荒木大輔投手の早稲田実業高校を下し、優勝。高校野球史上に残る名勝負となった。

ラベル:

桃屋TVCM150-1980-料理




時間:30秒
商品名:キムチドレッシング
制作年:1980年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

最後のアニメーション合成を除き、実写映像のみで制作。テーブルの上で逆行を浴び、暗い影を作る一列に並んだ調味料のビン。そこへキムチドレッシングのビンが彗星のごとく登場。和、洋、中華料理への使用例が紹介される。冒頭の「ニュータイプ」という台詞は、1979年から1980年にかけ、名古屋テレビをキー局として放映されたロボットテレビアニメ『機動戦士ガンダム』で使われている言葉。超能力にも似た特別な感覚を得た人々を意味し、番組テーマにおいて重要なキーワードとされる。同作品は現在に至るまで、漫画、テレビ、映画等で次々にシリーズ版が製作され続けており、後々のアニメ界へ影響を与えたとされるが、より長い歴史を誇る桃屋のり平アニメCMでも引用されているのがおもしろい。

ラベル:

桃屋TVCM149-1980-おかゆ




時間:30秒
商品名:梅ごのみ 江戸むらさきお父さんがんばって メンマ 搾菜
制作年:1980年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

朝日の昇る中国某所の厨房。エプロン姿の料理人が湯気のこぼれる鍋の前で「満腹感あって、胃の負担にならない、これ体のためにとてもいいこと」と、朝食にお粥をアピール。続く実写シーンでは、当時使われていたスイッチレバーとランプのみの電気炊飯器が。蓋を開けると、釜の中に炊きたてのお粥。場面は変わり、和の朝食。漆塗りのような盆の上に箸と箸置き、お粥の茶碗がのせられる。佃煮や梅ペーストのビンが添えられ、次は中華版。テーブルの上にセットの急須、茶碗と散蓮華、そして桃屋中華シリーズ商品が並ぶ。最後のシーンでビン1本のラベルがアニメーションの合成になる以外は、実写映像が続く。「美容に、健康に」「お母さんもがんばって」というナレーションが入り、女性の視聴者を意識した作品。

ラベル:

桃屋TVCM147-1979-お見合い




時間:30秒
商品名:煮込みつゆ
制作年:1979年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

ししおどしの鳴る料亭のような和室。画面には赤字で「お見合いの巻」のテロップ。向かい合って座る若い男女と、娘の紹介をする母親。「お茶にお花に洋裁に、テニスにゴルフに麻雀」と、作法から遊びまで身に付いた娘を相手の男性に自慢。この場面では、当時の若い女性の生活文化や価値観などを垣間見ることができる。男性が料理の腕前をたずねると、母親は煮込みつゆのビンを出して説得。「うどん、寄せ鍋、茶碗蒸し、すき焼き、天丼、お吸い物」と和食への万能性をアピール。すると男性は女性に目もくれず、つゆのビンに一目惚れし、口づけ。それまで大人しく座っていた娘は、その光景にハンカチを噛んで悔しがる。静かに流れる琴のBGMが、コメディーの騒がしさと対照を生み、効果的。

ラベル:

桃屋TVCM146-1979-タレミファ




時間:30秒
商品名:焼肉のたれ
制作年:1979年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

山々に囲まれた緑の牧場と、赤いとんがり屋根の白い家。岩影では、七輪で肉を焼く着物姿の少女と、団扇で火を起こす麦わら帽子の少年。そこへ、匂いを嗅ぎつけた牛、豚、羊、鶏が柵に大集合。冒頭のBGMはスコットランド民謡の『夕空晴れて』の替え歌。続く台詞では、七五調四句の今様形式手習い歌『いろは歌』からダジャレを引用。4つに並んだビンを叩いて発せられるのは、長音階のドレミファソラシド。低音から高音、再び低音へと戻るメロディは、ミュージカルや映画『サウンド・オブ・ミュージック』の歌『ドレミの歌』でお馴染み。最後の場面で大ビンを「ビッグタレント」として紹介しているが、「タレ」という商品名のほか、当時のアイドルタレントブームを意識したダジャレと考えられる。

ラベル:

桃屋TVCM145-1979-キャリアウーマン




時間:30秒
商品名:つゆ
制作年:1979年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

ベランダつきの広い部屋。白を基調としたシンプルなデザインのインテリア。透明の材質で作られたデスクに向かい仕事をするのは、「頭抜群、顔満足、自信たっぷりプロポーション」と自画自賛の、才色兼備のキャリアウーマン。ところが、火にかけられた鍋からは煙がモクモク。「お料理苦手なの」と、食卓に顔を突っ伏すと、目の前に『つゆ』の瓶が。広いシステムキッチンに立ち、今度はテキパキと料理をこなす。『つゆ』の瓶を手にした彼女は、アップにしていた明るい茶色の髪を下ろし、ウェディングドレス姿に早変わり。BGMがメンデルスゾーンの『結婚行進曲』風に変わり、彼女は飛び跳ねるように両脇に並ぶ小徳利と大徳利の瓶にキスをする。

ラベル:

桃屋TVCM144-1979-ビッグヒット



時間:30秒
商品名:チャント炒飯
制作年:1979年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

派手な照明装飾の輝くステージ上。スクールメイツを思わせる4人の少女が登場し、司会者が「今週のビッグヒット」と楽曲紹介。スポットライトを浴びるのはコック帽姿の若手歌手。手元のギターが途中でフライパンに早変わり。観客の合いの手が、アイドル歌謡曲の雰囲気を演出。1978年から東京放送系列で音楽番組『ザ・ベストテン』が放映開始、最高視聴率41.7%を記録する看板番組に。生放送で番組独自のポイント制によるランキングを10位から1位まで順に発表するという番組構成だった。1979年、同番組で西城秀樹の『YOUNG MAN (Y.M.C.A.)』が番組史上初かつ唯一の最高点9999点を獲得。このCMの冒頭で、歌タイトルのテロップに「チャント!炒飯 for young man」とあるのは同曲をもじったため。

ラベル:

桃屋TVCM135-1979-千鳥足




時間:30秒
商品名:江戸むらさきお父さんがんばって
制作年:1979年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

「お父さんがんばって」という商品名の通り、父親をテーマにした4つの場面から構成されるオムニバス作品。一人目のお父さんは千鳥足で帰宅。ドアの前に着くと、鬼のような角が生えた妻のシルエットが。反射的に敬礼をするお父さんに、2階の窓から幼い娘がロープはしごを下げて応援。2人目のお父さんは、お出掛けをする妻子を玄関で見送り。一人になってはしゃぐ父親の姿に、娘は見て見ぬ振りで応援。次のお父さんは、子ども部屋で宿題を肩代わり。息子はウイスキーのような飲み物を盆にのせて差し入れ、応援。最後はおしゃれを楽しむ娘が、頭の禿げかけた父に優しい笑顔で応援。商品は低塩かつ低糖で、父親の健康をサポート。パロディーやダジャレはほとんどないが、時代風刺に溢れた一作。

ラベル:

桃屋TVCM133-1978-天竜下り




時間:30秒
商品名:いか塩辛
制作年:1978年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

タイトルは違うが、1968年の桃屋CMシリーズモノクロ作品『いかだ』のカラー版。ストーリーや船頭の台詞はほぼ変わらないが、キャラクターと背景画が全面的に書き直されている。モノクロ版では峡谷の背景画が日本画風に描かれていたが、カラー版では岩の切り立つグランド・キャニオン風赤土色の峡谷へ。船頭のり平の服装が赤い半袖シャツに白い半ズボンへ変わり、こちらも洋風化。舞い上がった水しぶきの形が女性の姿になり、船頭へ抱きつくように飛びかかるのもモノクロ編とは異なる。船頭がいか塩辛で酌をするときの腹に晒しを巻いた格好は変わらないが、酌後は座ってカヌーのオールを漕ぐように棹を操る。日本一色だったモノクロ版に対し、時代の流れを反映するかのように、カラー版では欧米文化の取り入れが特徴となった。

ラベル:

桃屋TVCM132-1978-剣道



時間:30秒
商品名:メンマ
制作年:1978年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

剣道場の軒先に座り、ゆっくりとおむすびを頬張る大工。壁から突き抜ける竹刀にも表情を一切変えず、冷静沈着なまま少し後ろへのけぞって回避。左手の木槌で竹刀の先端を叩き押し戻すと、あっという間に木片で穴を塞ぐ。大工は立ち上がり、メンマのビンを手に踊り出して、凛々しくポーズ。それを見つけた女剣士が目を輝かせて窓格子から手を伸ばし、身を乗り出すと格子ごと地面に落っこちる。大工は相手にせず立ち去り、怒った女剣士は竹刀を振り回して悔しがり、背後から大工を襲おうとするも、素早いビンのブロックに阻まれる。そのはずみで蓋が開くと、大工は箸を使って女剣士におすそ分け。女剣士は竹刀を放り出してうっとりとビンに寄り添う。台詞とナレーションにダジャレの多い作品。

ラベル:

桃屋TVCM131-1978-かみなりさん




時間:30秒
商品名:搾菜
制作年:1978年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

青空の下に広がる芝生と道路、住宅街。空には白い雲の海のなかをバイクで飛ばす、黒いヘルメット、トラ柄のふんどし、背中に雷鼓を背負ったかみなりさん。すると突然、紫色の雲が出現して、「ピッピピピーッ」という警笛音と共にピカリと光が発せられる。それでも、機嫌よく歌を口ずさんで通過するかみなりさん。紫色の雲が人の手のカタチに変形し、かみなりさんのヘルメットを取り上げる。白い雲のハイウェイには数々の標識が現れ、目の前に立ちはだかる黒い雲からは大きな黄色い稲妻が。雷は民家を直撃し、かみなりさんはちゃぶ台の側へ墜落。そこで食卓に『榨菜』を見つけ、万歳をして喜ぶ。歌われているのは『新土佐節』の替え歌。

ラベル:

桃屋TVCM130-1978-もとのお話し




時間:30秒
商品名:麻婆豆腐の素
制作年:1978年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

時は昔、場所は中国。山の起伏に沿って長く続く建築物は世界遺産の万里の長城。そこへ、自転車の男性、ボーが豆腐を片手に登場。続いて、楼閣のような建物の2階窓から麻婆豆腐の素のビンを手に顔を出す女性、マー。当然、2人の名前は食材名からとったもの。男性は万里の長城から投げ縄を使って楼閣を引っ張り、距離を縮め、更には雑技団のようにロープをつたって移動。2人仲良くテーブルで食事をする。後半は麻婆豆腐の料理風景などの実写映像が中心となり、料理人がアニメーションで合成されている。料理人の最後の台詞「これホント」は、1975年から1981年まで放映されたNHK総合の視聴者参加型テレビクイズ番組『ゲームホントにホント!?』で、浜村淳や佐野浅夫がよく使ったフレーズ。

ラベル:

桃屋TVCM129-1978-おこうこ踊り




時間:30秒
商品名:おこうこです
制作年:1978年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

照明の落ちたステージ上で背中合わせで立ち、スタンバイする痩せ型長身の男性と背の低いぽっちゃり体系の女性のシルエット。照明がつき、曲が流れ始めると、リズムにのって踊り出す。この2人組は、1978年に放映された東京放送系列のテレビドラマ『ムー一族』の劇中歌『林檎殺人事件』を歌う郷ひろみと樹木希林がモデル。同曲のコミカルな振り付けもパロディー化されている。また歌詞には、1976年にデビューし、1978年当時人気の絶頂期にいたアイドル・デュオ、ピンク・レディーの作品を替え歌として多数引用。順に、『カルメン’77』、『ウォンテッド(指名手配)』、『UFO』、『S.O.S』、そして『ペッパー警部』と続く。最後の場面では、2人組の体系に似た、大きさの異なる商品のビン2本が並んで登場。

ラベル:

桃屋TVCM128-1978-味論争




時間:30秒
商品名:焼肉のたれ四川・広東
制作年:1978年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

鋭く切り立った岩山の数々。頂上で言い争いをするのは天女のような「甘い」派の広東女性と、皇帝か武将のような「辛い」派の四川男性。口論の激しさに2人のいる岩山は真っ二つに割れる。両者の山肌には掛軸が垂れ、2人の前に置かれたビンからはそれぞれモクモクと煙が。それを団扇で扇ぎ、せめぎ合いながらの口論が続く。すると、雲に乗った仙人が登場。顔の形となって衝突し合う両者の煙の天辺を杖で叩くと、霧が晴れるように消滅。仙人は怒った表情で、「好みは誰にもある」と個性の重要性を説くと、両者それぞれに違う種類の焼肉のたれを渡す。続くシーンでは、雲の上で焼肉を楽しむ割烹着姿の仙人が。その膝元には当然2種類のたれ。最後に、2つに割れた岩山がそれぞれビンの形に変身。

ラベル:

桃屋TVCM127-1978-表参道




時間:30秒
商品名:梅ごのみ・つぶつぶ・かつおうめ
制作年:1978年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

場所は、東京都の原宿と青山をつなぐ若者のメッカ、表参道。まず、竹の子族を思わせる、だぶだぶのファッションの女性が登場。「momoya」というブティックが登場するが、竹の子族の由来は1978年に開店した「ブティックTakenoko」。ショーウィンドーのマネキンは、1977年制作、翌78年日本公開の米国映画『サタデー・ナイト・フィーバー』における主演ジョン・トラボルタの決めポーズ。同作品は日本でもディスコ・ブームの火付け役となり、「フィーバー」という流行語を生み出した。道路を歩く物体は、同じく1977年全米公開の大ヒットSF映画『スター・ウォーズ』に出てくるロボット、R2-D2がモデル。同映画も日本公開は1978年だった。1978年当時の日本国内外における若者文化がふんだんにパロディー化された作品。

ラベル:

桃屋TVCM126-1978-角兵衛獅子




時間:30秒
商品名:五目寿司のたね
制作年:1978年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

緑の山々に囲まれた茅葺き屋根の小屋。その前で、獅子舞の装飾を頭につけ、鼓を叩いてリズムを取る少年と、軽々と後方転回を連続させ、逆立ち歩きをする少女。長椅子に五目寿司のたねのビンを見つけると、「油揚げ、かんぴょう、にんじん、しいたけ、たけのこ、れんこん、高野豆腐」と五目ならぬ七目の材料を紹介。獅子舞の衣装を脱いだ子どもたちは長椅子に上がり、少女が歌舞伎のように見得を切ると、少年は鼓を打ちながら浪曲調で決め台詞。ここで1976年に中村玉緒主演で映画化、また1977年には市原悦子主演でドラマ化された『岸壁の母』がもじられている。角兵衛獅子は、新潟県新潟市南区を発祥とする郷土芸能『越後獅子』の別称であり、児童が中心になって演じる獅子舞の大道芸。

ラベル:

桃屋TVCM125-1978-UFO




時間:30秒
商品名:つゆ
制作年:1978年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

作り物の月が吊るされている星空の背景。そこに、雲が流れてくると、傘をさした芸妓登場。上からは『つゆ』の黒い瓶が表れ、宇宙船かUFOのように画面いっぱいに映し出される。顔を見合わせた芸妓と剣士は、「UFO!」と一緒に声を出す。これは前年、1977年に発売されたピンクレディーの大ヒット曲『UFO』の振り付けをパロディー化したもの。場面は変わって座敷内。3段重ねの盛りそばに箸をつける剣士。そば猪口に『つゆ』を注ぐ芸妓。最後のシーンでは、剣士が『つゆ』の大徳利を左手に、小徳利を右手に紹介。登場人物は新国劇『月形半平太』から引用。1978年は、映画『未知との遭遇』、『スター・ウォーズ』が日本で公開された年でもある。

ラベル:

桃屋TVCM124-1977-熊さん



時間:30秒
商品名:江戸むらさき石狩
制作年:1977年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

北海道の石狩川上流。清流でシャケを捕る熊の姿。捕まえた何匹ものシャケを串刺しにし、たき火のまわりで焼いている。熊の傍らには、おにぎり2つと海苔の佃煮。焼けたシャケに手を出すも、熱さのあまりに落としてしまい、シャケが海苔の佃煮のなかへ落ちる。すると、瓶から取り出されたシャケは身が消え、骨だけの姿に。海苔の佃煮の瓶に指を入れ、味見をする熊。「海苔の香りにシャケの味」と、舌鼓を打つ。最後のシーンで、シャケを2匹背負った熊が取るポーズは、『江戸むらさき石狩』のラベルに描かれたものと同じ。「昔々」という語り出しは、1975年に始まったテレビアニメ『まんが日本昔ばなし』の影響を受けているかのように見える。

ラベル:

桃屋TVCM123-1977-お茶漬け




時間:30秒
商品名:江戸むらさき石狩
制作年:1977年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

鮭を2匹背負った眼鏡姿の熊さんがラベルに目立つ海苔佃煮のビン。茶碗に盛られた湯気の立つ炊き立てのご飯に、海苔の佃煮がのせられる。ここまでは全て実写映像のみによる構成。続いてアニメーションが入る。石で丸く囲われたたき火の上には鍋が掛かり、その横には鮭の串刺しが3匹。調理しているのは冒頭のラベルに描かれている眼鏡の熊さん。香ばしく焼けた鮭の身から骨を抜き取り、鍋に入れて佃煮のだしを取る。次に、熊さんが佃煮のビンと急須が盆にのせ食卓へ。再び実写映像に変わり、茶漬けに佃煮が溶け合った映像。前場面のアニメーションで鮭の焼き身と骨のだしが佃煮に入っていることが説明されているため、このシーンは非常に効果的。最後はビンのラベルから熊さんが飛び出し、ポーズを取る。

ラベル:

桃屋TVCM122-1977-お母さん



時間:30秒
商品名:五目寿司のたね
制作年:1977年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

のれんをくぐって、女の子と出てくるのは着物姿のお母さん。その手には『五目寿司のたね』の瓶が。桃屋の「五目寿司のたね明かし」と台詞にあるように、続けて調理方法を実写映像で解説。瓶の封を開けるところから始まり、付属のすし酢を米に混ぜ、瓶に詰まった具を酢飯に混ぜる様子が映し出される。「しいたけ、れんこん、竹の子、かんぴょう、にんじん、油揚げ、高野豆腐」と、冒頭のシーンでお母さんに連れられていた女の子が、具の数を指折り数える。再び実写映像に戻り、できあがった五目寿司は綺麗に盛り付けられ、上品さと豪華さが演出されている。BGMが、手鞠歌としても有名な童歌『あんたがたどこさ』のメロディーによく似ている。

ラベル:

桃屋TVCM121-1978-コックさん



時間:30秒
商品名:麻婆豆腐の素
制作年:1978年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

銅鑼の音とともに登場するコックさん。手には豆腐の入った皿と、『麻婆豆腐の素』。続いて調理方法の説明となり、瓶の封が開けられ、中華鍋に注がれる麻婆豆腐の素ペーストの実写映像。そこに瓶1杯ぶんの水が注がれ、鍋のなかで混ぜ合わされる。このときナレーションで、子どもには辛すぎないようにと、水の分量のアドバイスが入る。まな板の上でざっくりと切り分けられる豆腐。鍋でグツグツと煮立っている麻婆豆腐ソースに豆腐が加えられる。仕上げに付属の片栗粉でとろみ付けて、できあがった麻婆豆腐が皿に盛り付けられる。料理の手軽さが表現され、最後には再び銅鑼が響き、実写とアニメの合成映像に。

ラベル:

桃屋TVCM120-1977-本格




時間:30秒
商品名:キムチの素
制作年:1977年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

キムチの素を使った調理法を、実写映像で紹介した作品。前半は簡単バージョン。皿に盛られた塩漬けの白菜にスプーン1杯分のペーストをまぶし、出来上がり。後半は本格バージョンのレシピ。キムチの素のビンのほか、大根、ネギ、リンゴ、いか塩辛のビン、にら、そして白菜が画面上に並ぶ。四角形の大きなケースの底に一塩に漬けた白菜が敷き詰められ、その上にカットされたネギやリンゴ、にら、そしてペーストがたっぷりとかけられる。再び白菜を敷き詰めて層を重ね、木板の蓋の上に漬物石が載せられる。ケースの側面がクローズアップされ、漬物内から出る泡を映して発酵の様子を紹介。最後のシーンではエプロン姿の女性がアニメーション合成で登場するが、まさに料理番組のような一作。

ラベル:

桃屋TVCM119-1977-夏を愛する人




時間:30秒
商品名:つゆ
制作年:1977年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

1976年に、荒木とよひさ作詞作曲、芹洋子の歌う『四季の歌』がミリオンセラーの大ヒット。これにちなんだ、季節折々の『つゆ』の調理例を実写で紹介する4部作。夏版は、『四季の歌』の歌詞、「夏を愛する人は」という台詞で始まる。蚊取り線香の置かれた板の間に浴衣姿で横たわり、団扇で風を送り風鈴を鳴らす亭主。お盆に載せたそうめんを差し出す妻。次の実写映像では、そうめんとめんつゆの組み合わせ。『つゆ』の瓶を手にした妻のアニメーションのあと、実写でとろろ汁、天丼、冷や奴を紹介。最後のアニメと実写の合成では、妻が「つゆ」と書かれた団扇を手にしている。途中から『ハッピー・バースデー・トゥー・ユー』の替え歌が流れる。

ラベル:

桃屋TVCM118-1977-春を愛する人




時間:30秒
商品名:つゆ
制作年:1977年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

前年1976年に、荒木とよひさ作詞作曲、芹洋子の歌う『四季の歌』がミリオンセラーの大ヒット。これにちなんだ、季節折々の『つゆ』の調理例を紹介する4部作CMの春。『四季の歌』の歌詞にある「春を愛する人は」という台詞から始まる。満開の桜を前に、縁側で句を読む男。そこへざるそばを運んでくる妻。続いて実写映像で、ざるそばとめんつゆが映し出される。妻と『つゆ』の瓶のアニメのツーショットのあと、再び実写で煮物、吸い物、茶碗蒸しを紹介。最後は実写とアニメの合成だが、男性の短冊には「春はつゆ」の1句。途中から『ハッピー・バースデー・トゥー・ユー』の替え歌が流れ、『つゆ』と「トゥー・ユー」をかけた駄洒落になっている。

ラベル:

桃屋TVCM117-1977-冬を愛する人




時間:30秒
商品名:つゆ
制作年:1977年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

このCM放映前年の1976年に、荒木とよひさ作詞作曲、芹洋子の歌う『四季の歌』がミリオンセラーの大ヒット。これにちなんだ、季節折々の『つゆ』の料理例を実写で紹介する4部作CMの冬バージョン。CMは、『四季の歌』の歌詞にある「冬を愛する人は」という台詞から始まる。畳の間でコタツに入り、すき焼きの仕込みをする妻と晩酌を楽しむ夫。猫も眼鏡をはずしてコタツでくつろぎ、「ニャー」と1発。窓の外では深々と雪が降っている。実写映像で紹介されるのは、すき焼き、寄せ鍋、お雑煮、おでん、と体の温まる料理の品々。最後のアニメと実写の合成では、猫を膝に乗せ、コタツで酔っ払った夫が、お猪口を『つゆ』の瓶に「チン」と当てて乾杯する。途中から流れるのは『ハッピー・バースデー・トゥー・ユー』の替え歌。『つゆ』と「トゥー・ユー」の音が似ているために使われたと考えられる。

ラベル:

桃屋TVCM116-1977-秋を愛する人




時間:30秒
商品名:つゆ
制作年:1977年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

1976年に、荒木とよひさ作詞作曲、芹洋子の歌う『四季の歌』がミリオンセラーの大ヒット。これにちなんだ、季節折々の『つゆ』の料理例を実写で紹介する4部作CMの秋版。CMは、『四季の歌』の歌詞にある「秋を愛する人は」という台詞から始まる。祭りばやしと虫の音を背景に、縁側で月見をする夫婦。仲睦まじく膝枕をしている。実写映像で紹介されるのは、月見そば、てんぷら、野菜の煮付け、鍋焼きうどんの品々。最後のアニメと実写の合成では、再び妻が亭主に膝枕をする様子が描かれている。途中から流れるのは『ハッピー・バースデー・トゥー・ユー』の替え歌。『つゆ』と「トゥー・ユー」の音が似ているために使われたと考えられる。

ラベル:

桃屋TVCM108-1976-八百屋お七




時間:30秒
商品名:キムチの素
制作年:1976年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

江戸の空を真っ赤に染める大火を背に、火の見櫓に登る着物の女性。辺りを見回し、キムチの素のビンを見つけ両手を伸ばす。はしごから落下するも、見事に着地。指を口に入れて鳴らし合図をすると、「大根、白菜、きゅうりにキャベツ、もやしにたまねぎ、にら、ピーマン」といったキムチの素に合う野菜が空から降ってくる。このパロディーのモデルとなった八百屋お七は、江戸時代前期の実在人物で、江戸本郷の八百屋太郎兵衛の娘。恋慕の末、意中の男性との再会を願って放火未遂を起こし、火刑に処され、それが後に浄瑠璃や歌舞伎の題材となった。CMの一部で、1967年に150万枚の売り上げを記録した美空ひばりの名曲『真赤な太陽』の替え歌が使われている。また、最後のナレーションには漫談家、松鶴家千とせの当時大流行したギャグを真似た一節が。

ラベル:

桃屋TVCM107-1976-アリラン




時間:30秒
商品名:キムチの素
制作年:1976年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

部屋の障子戸、座布団にちゃぶ台、その上に置かれた土鍋、妻が手にする銚子は日本風だが、夫は朝鮮民謡『アリラン』の替え歌を歌い始め、漬物にキムチをリクエスト。妻は漬けるのが面倒と言いつつ台所の戸棚に飛んで行き、キムチの素のビンを夫に差し出す。夫は驚き、妻は箸で皿に盛り付けた白菜付けに素をまぶしている。味見した夫は眼鏡を飛ばして辛さとうまさを表現。最後はビンとキムチ漬けが盛られた皿の実写映像と夫のアニメーションとの合成。1976年はモントリオールオリンピックが開催された年。前半、夫婦が歌いながらシンクロナイズドスイミングのような動きをするが、同競技がオリンピックの正式種目となったのは1984年のロサンゼルスオリンピック以降。

ラベル:

桃屋TVCM106-1975-なつかしのメロディ



時間:30秒
商品名:江戸むらさきごはんですよ!
制作年:1975年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

1930年代から60年代までの昭和のヒット曲4本を、それぞれ場面を変え、オムニバス形式でつないだ一作。一曲目は港町が舞台となり、1932年に発売された小唄勝太郎の『島の娘』。続くステージ上では1960年にヒットした藤島桓夫の代表作『月の法善寺横丁』が。歌手だけでなく、舞台下で座布団に正座し、にぎり飯を食べる老婆にもスポットライトが当たっている。次に、任侠映画に出てくるような半丁賭博の場面に変わり、壺振りが1965年にリリースされた北島三郎の『兄弟仁義』を歌う。最後は、歌う映画スターの草分け的存在、高峰三枝子の1940年のヒット作『湖畔の宿』。やがて画面右から司会者が登場し、赤い幕を引く。観客のカーテンコールを思わせるざわめきを受けつつ、締めくくりの挨拶をする。

ラベル:

桃屋TVCM105-1975-メンマ大王



時間:30秒
商品名:メンマ
制作年:1975年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

灼熱地獄にある閻魔の庁で裁きを受ける白装束の死者。生前の自分の姿と行いが大きな鏡に映し出され、「メンマなんか食べたことない」と言ったウソが、地獄の主神、閻魔大王ならぬメンマ大王に暴かれる。「釜ゆでだ、針の山だ、舌を抜けー!」と下される審判。真っ赤な炎に熱せられ、モクモクと湯気を出す釜。その後ろに広がるのは文字通りの針のムシロ、そして、大きな鉄製のペンチ。逃げ出した死者はすぐに捕まってしまうが、大王にメンマの瓶詰を見せると、その目は瓶に釘付け。その隙をついて、地獄を抜け出そうと鏡のなかに逃げ込む死者。死者が思い切り瓶を投げつけると、メンマ大王は初めこそ険しい顔をするも、すぐにメンマでご満悦に。

ラベル:

桃屋TVCM104-1975-ザーサイ市



時間:30秒
商品名:搾菜
制作年:1975年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

一本のローソクがともる薄暗い部屋。仕込み杖を左脇に置き、正座のまま静止する坊主頭の男。犬の鳴き声が響くと同時に後ろを振り返り、目を瞑ったまま飛んできた搾菜のかたまりをキャッチ。そのまま搾菜を高く投げ上げると、素早く立ち上がって刀を抜き、殺陣のように振り回す。男は刀を捨て、降り落ちる切り刻まれた搾菜をビンに。自らを座頭市ならぬザーサイ市と名乗りながら、歌舞伎のように見得を切る。最後に男はそれまで閉じていた目を開き、両手のビンに見とれる。パロディーのネタとなった『座頭市』は1962年から1973年に至るまで立て続けに制作された映画シリーズであり、俳優勝新太郎の代表作。1974年から75年にかけては、同じく勝新太郎主演でフジテレビ系列のテレビドラマ『座頭市物語』が放映されていた。

ラベル:

桃屋TVCM103-1975-伊豆の踊り子




時間:30秒
商品名:根菜
制作年:1975年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

1926年に発表された川端康成の短編小説『伊豆の踊子』のパロディー。西洋バレエのように舞いながら登場する踊り子。木の幹に寄りかかって座り、弁当の風呂敷包みを開けると、ビンが宙に浮かび、お稲荷様のもとへ。キツネが登場するのは、日本におけるキツネの鳴き声の擬声語「コン」と商品名の語呂合わせ。呪文には、桃屋CMシリーズ『仙人』編で流行したフレーズを再び採用。そのほか、台詞の一部には1974年の山口百恵のヒット曲『ひと夏の経験』の歌詞がパロディーとして引用されている。また、山口百恵は1974年から75年にかけて公開された映画版『伊豆の踊子』で初主演、後に夫となる三浦友和と初共演を果たした。

ラベル:

桃屋TVCM102-1974-都々逸



時間:30秒
商品名:焼肉のたれ
制作年:1974年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:サンク

和室に正座し、三味線を引きながら都々逸を歌う芸者。三味線を畳に置き、障子戸を開けると、外から焼肉のたれのビンが投げ込まれる。ビンを手にした芸者は目を丸くして喜ぶ。場面が変わり、肉が盛られた皿にタレをかけ、箸でからませ、下ごしらえをする芸者。続いて、肉を一枚しか焼かない「しみったれ」バージョンと、肉を焼きすぎてしまう「ばかったれ」バージョンの芸者が登場。最後には、肉をほどよく焼いて、酒と楽しむ上機嫌の芸者が。七輪で肉を焼きながら立ち上がり、扇子を広げて踊りと歌を披露。「ジュー」という肉の焼ける音が効果的。都々逸は江戸末期、初代の都々逸坊扇歌によって大成された流行俗謡。主に男女の恋愛を題材として扱い、七・七・七・五の音数律に従って作られ、三味線とともに歌われる。

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桃屋TVCM097-1973-オムニバス



時間:30秒
商品名:江戸むらさきごはんですよ!
制作年:1973年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ


当時の新商品発売時に制作されたCMで、異なった人物と場面から構成される全5シーンのオムニバス作品。一つ目は、競い合う2人のマラソン選手。次に、前科5犯の泥棒を追いかける警官と子ども。続いて、飛行機を操縦する夫をパラシュートで追う和服姿の妻。ゴルフ場でプレーする妻にお弁当を届けに来る、元気一杯の長男と赤ん坊をおぶってやつれ気味の旦那。そして最後は、スポットライトのあたるステージ上。大胆にへそを出した赤い衣装に身を包み、腰を振りながら歌う女性は、同年『狙いうち』が大ヒットした山本リンダ。この作品でも同曲の歌詞が引用されている。ほぼ全ての「ごはん」という台詞は、「は」の音にアクセントが付けられており、視聴者の耳に残るよう工夫がなされている。

ラベル:

桃屋TVCM096-1973-村の渡し



時間:30秒
商品名:江戸むらさき幼なじみ
制作年:1973年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

良く晴れた日、岸に花の咲く架空の川「なじみ川」。川岸に浮かぶ屋形船から船頭が出船の合図を叫ぶ。それを聞き、川辺の小屋から駆け出て姿を見せる老婆。童謡『船頭さん』の替え歌を口ずさみながら、こしらえたおむすびを海苔佃煮のビンと一緒にお盆にのせ、空いた手に急須をぶら下げて船に飛び乗る。今年で60歳になる船頭の背後から、優しくお盆を差し出す老婆。船頭はビンを手に嬉しそうな表情を見せると、お盆のおむすびそっちのけで老婆と向かい合い、子ども時代のように互いの手を叩き合ってじゃれる。右手で老婆の手を取り甲に口づけをすると、左手で「営業中」の札をひっくり返し「準備中」に。川へ出た屋形船の窓には、仲むつまじく肩を並べる幼なじみ二人のシルエットが映る。幸福感の漂う一作。

ラベル:

桃屋TVCM095-1973-天の岩戸



時間:30秒
商品名:いか塩辛
制作年:1973年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

樽が積み上げられた酒蔵風の天の岩戸に引き篭もり、1人お銚子とお猪口を手に酒を飲んでいるのは、のり平扮する日本神話の太陽神アマテラス。「おい、開けろ、開けろ。オレたちにも飲ませろ」という怒声とともに、岩戸の隙間から差し込まれるのは空のワイングラス、杯、お猪口、そして「飲み占め反対」と書かれた幟。この「飲み占め反対」という言葉は、第1次石油危機の日用品買い占め騒動を引用したものだろう。「誰にもやらねーよ」と無視をするのり平アマテラスだが、肴の存在に言及した歌を耳にすると、扉へ一直線。小窓から外を覗くと、そこには『いかの塩辛』が。アマテラスはためらいもなく天の岩戸を開け、酒をみんなにも振舞うのであった。

ラベル:

桃屋TVCM094-1973-変身



時間:30秒
商品名:江戸むらさき特級
制作年:1973年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

葛飾北斎の浮世絵『富嶽三十六景』を思わせるような、富士山の見える崖道。場所は旧東海道の箱根八里。『箱根馬子唄』とともに、馬を先導する馬方と旅人が登場。腕に巻いた金色の腕時計に目をやり、旅人が遅いと文句を言うと、三つ編みにリボンを巻いた馬の頭の賃走メーターが上がる。古今の文化と技術が入り混じっている様子が滑稽。旅人が海苔の佃煮を馬方に差し出すと、奇妙なポーズを取りながら破裂音とともに「変身」。馬は羽の生えた白馬へ、馬方はマントを羽織った白衣の貴公子に。ここでは東西の文化が融合している。当時、子どもたちの間では変身ごっこが流行。その火付け役となったのは、1971年から現テレビ朝日系列で放映された、石ノ森章太郎原作、東映製作の特撮ヒーロー番組『仮面ライダー』シリーズ。

ラベル:

桃屋TVCM093-1972-端唄




時間:30秒
商品名:梅ごのみ
制作年:1972年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

銭湯の暖簾をくぐって登場するのは、風呂桶に手ぬぐいをかけ、かんざしで髪をまとめた青い着物の女性。下駄を鳴らしてリズムを取るように、江戸期の小曲、端唄調で歌い始める。足を止めて梅の木の枝を見るも、まだ花が咲いておらず落胆の表情。寺院らしき建物の横を通り過ぎると、空から練り梅のビンが落下。女性の頭部を直撃するも、嬉しそうにビンに視線を向け、パチクリとまばたき。続いて、桜の木上部からの俯瞰では、女性が石の道を歩きながら「昆布や鰹節、しその葉入れて」と商品の材料を歌にのせて説明。立ち止まってポーズを取りながら歌を締めくくる。塀の並ぶ道へと場面が変わり、女性が着物の裾をめくりあげると、男性の下着が。足を広げて飛び上がりながら家路につく女性は、実は男性だったというオチ。

ラベル:

桃屋TVCM092-1973-子連れ狼




時間:30秒
商品名:槍菜
制作年:1973年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

この作品のモデルとなった『子連れ狼』は、1970年から『漫画アクション』誌に連載が開始された小池一夫原作、小島剛夕画の時代劇漫画。1973年、日本テレビ系列で萬屋錦之介主演によりドラマ化され、主人公である拝一刀の息子、大五郎を演じた西川和孝のキャラクターや、父を「ちゃん」と呼ぶ演技が評判を呼び、大人気を博した。激しい雨のなか、東屋で外の様子を伺う大五郎。おにぎりと槍(火へんに倉)菜のビンを持ってきた父の姿を見つけると飛び出して駆け寄る。父は厳しい顔のまま、ダジャレである大五郎の発音間違いを指摘。また、大五郎の台詞「人ぴっちゃんだ」は、橋幸夫の歌うドラマ主題歌の歌詞、降雨の擬態語「しとしとぴっちゃん」をもじったもの。森の様子、東屋の木目や瓦といった背景画の質も良く、降雨や風の効果音も細かく挿入されている作品。

ラベル:

桃屋TVCM091-1972-木枯らし紋次郎




時間:30秒
商品名:江戸むらさき幼なじみ
制作年:1972年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

1972年にフジテレビ系列で放映された、笹沢佐保原作のテレビ時代劇『木枯し紋次郎』のパロディー。この番組は『市川崑劇場』と銘打たれているとおり、世界的に有名な映画監督市川崑が監修を行い、演出や監督も数話担当、大人気を博した。桃屋が提供を行っていたため、このパロディーCMは同番組内で放送されていたという。ゆっくりと崖の続く道を歩く人影。「縞の合羽に三度笠」の格好で見返りのポーズをとるのり平版木枯らし紋次郎のショットがサブリミナル的に挿入される。CM途中の台詞は、紋次郎の決め台詞「あっしには、かかわりのねえことでござんす」をもじったもの。このアニメーション作品でも、トレードマークの口にくわえた長い楊枝を吹き矢のように飛ばす場面は健在。

ラベル:

桃屋TVCM088-1971-漬物




時間:30秒
商品名:根菜・槍菜
制作年:1971年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

暖簾のかかった入り口、障子の張られた丸窓、絵の書かれた扇子が飾られた和風の部屋。横に飯櫃が置かれたちゃぶ台を前に、座布団に正座してご飯を食べる和服姿の男性。憂鬱な表情になり、「何かおいしいお漬物でもないかな」と茶碗と箸を置き、体育座りで考え込む。場面が変わって登場するのは、大根のはみ出た大きな木桶とそれに漬物石をのせようと奮闘する日本人、そして菜っ葉が入った壺に漬物石を投げ入れる中国人。続いて、並んだ木桶と壺が、実写の根菜と槍(火へんに倉)菜のビンへディゾルブで変身。最後の実写シーンではご飯とおかずが並んだ食卓に2本のビンが並べられ、冒頭部分のアニメーション男性が合成で登場。ビンの間に座布団を敷いて座り、茶碗と箸を手に満足の表情。

ラベル:

桃屋TVCM083-1971-仙人



時間:30秒
商品名:根菜
制作年:1971年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

『西遊記』の孫悟空が乗る觔斗雲のような雲に乗り、霞を箸で綿菓子のように絡めて食べるのり平仙人。「何かおいしいものは」と見下ろせば、1軒の民家に『根菜』の瓶があるのを発見。箸を魔法の杖のように操り、奇妙な呪文を唱えて瓶を自分のもとへと引き寄せる。しかし、瓶を取り損ねた仙人は赤いパンツ1丁で下界へ墜落。杖、衣、眼鏡が次々に落ちてくるのを見事にキャッチ。しかし、遅れて落ちてきた瓶だけはキャッチできず、仙人の頭にコツンとぶつかる。この作品は、雲に乗って空中飛行をしていた仙人が、川で洗濯をする女性の白いふくらはぎに目がくらみ、術が破れて下界へ墜落したという、『久米の仙人』の伝説をパロディー化したもの。

ラベル:

桃屋TVCM082-1971-マッチ売りの少女




時間:30秒
商品名:しいたけのり
制作年:1971年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

1840年代に発表されたハンス・クリスチャン・アンデルセンの創作童話『マッチ売りの少女』のパロディー。1971年当時、フジテレビ系列のアニメ番組『世界名作劇場』では『アンデルセン物語』が放映されていた。ガス燈の灯る雪の降る夜道。そこへ歩いてくる粗末な服装で頭に三角巾を巻いた金髪の少女。寒そうに両手に息を吐きかけている。悲壮感の漂うBGMが突然止まると、少女は遠く空を仰ぎながら、競輪とパチンコで負けたことをぶっきらぼうに告白。手元に残ったマッチ棒に火を灯すと、光の中から海苔の佃煮のビンが登場。幸せで涙をこぼすと、辺りの風景が変わり、テーブルにトリの丸焼きが置かれた、暖炉のある暖かそうな部屋へ。「摩る」と「擦る」、「しいたけ」と「虐げる」、火をつける「マッチ」と調和の意の「match」など、ダジャレが数多く使われている作品。

ラベル:

桃屋TVCM081-1971-海外旅行



時間:30秒
商品名:花らっきょう
制作年:1971年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

アコーディオンの音色に合わせて現れるのは、空に浮かぶ色とりどりの風船と、青空に高くそびえるパリの名物エッフェル塔。その下でカメラを構える、帽子を被った背広姿の日本人観光客。金髪のパリジェンヌに声を掛けられ振り向くと、彼女は白いワゴンで商売中。売られていたらっきょうを口にした日本人観光客は、突如帽子と背広を脱いで、鉢巻き、パッチにステテコ、腹巻き姿に変身。パリジェンヌのワゴンの前に立ち、叩き売りの口上でパリ市民の注目を集める。1971年は、ドルショックに伴う円切り上げにより海外旅行の価格が下がり、また前年には東京羽田空港にジャンボジェット機が就航。庶民に海外旅行が身近になった時代だった。

ラベル:

桃屋TVCM080-1971-競馬



時間:30秒
商品名:江戸むらさき特級
制作年:1971年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

冒頭は大勢の集う競馬場の実写シーン。人ごみのなかから合成アニメで現れるのは、黄色い帽子ののり平実況アナウンサー。続くシーンでは、本物の競馬実況さながらに、のり平アナが出走馬を紹介。「いよいよ、スタートの合図」とのり平アナのアップになると、今度は出走ゲートの実写映像とゲートから飛び出す競走馬たちのアニメ合成。レース中は、再びのり平アナ実況のアニメとなり、馬場の実写映像と疾走する馬のアニメの合成映像へと切り替わり、実写とアニメが交互に繰り返される。最後に映るのは、お茶の間で競馬中継をテレビで見ながら男性が海苔の佃煮でごはんを食べるアニメのシーン。実写映像は府中の東京競馬場でロケ撮影された。

ラベル:

桃屋TVCM079-1971-天女




時間:30秒
商品名:花らっきょう
制作年:1971年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

目の前に霊峰富士がそびえ立つ、羽衣伝説の舞台、白砂青松の三保の松原。羽衣の松から姿を現した天女が見つけたのは、松の木の下でらっきょうを肴に酒を飲む漁師、白竜。伝説では、天女は白竜から羽衣を取り返そうとするのだが、このCMではらっきょうを取り返そうとしている。羽衣を失くしたかのように飛び立てず、天に帰ることができない天女。取り合ってくれない白竜に腹を立て、やけになり、「私にも1杯ちょうだい」とお銚子で1杯酒をあおる。すると、フワリと天女の体が浮いて、羽衣の松の上空へと昇っていく。フラフラと空中をさまよい、しゃっくりを繰り返す天女。その姿が人間の酔っ払いそのものであるところがおもしろい。

ラベル:

桃屋TVCM078-1971-秋田音頭




時間:30秒
商品名:江戸むらさき幼なじみ
制作年:1971年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

東京タワーも赤く染まる夕焼けの大都会。ビル建設現場の最上付近にある足場へ腰を下ろす作業員。ヘルメットを取ると、中から海苔の佃煮のビンが出てくる。続いて作業員の回想シーン。夕焼けの空をからすが飛び、川の流れにカタカタと回る水車と小屋、両脇に草の生い茂った舗装のされていない小道が続き、都会とは対照的。鬼ごっこをしている少年時代の作業員が、川に渡された一本の大木の上で幼なじみの女の子を捕まえ、頬に口づけ。現実に戻ると、その相手は着物の少女ではなく、ヘルメットにニッカーボッカーズ姿の現場監督だった。作業員と現場監督の台詞には東北出身者を思わせる訛りが使われ、「幼なじみは」のくだりで使われるリズムは秋田音頭をパロディー化したもの。

ラベル:

桃屋TVCM077-1971-蝶々夫人




時間:30秒
商品名:いか塩辛
制作年:1971年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

海に浮かぶ黒船。汽笛がその船出を知らせると、海辺では1人の女性が「行―かないでー、行かないでー」と高らかに歌いながら別れを惜しむ。華やかな赤い着物の袖を振り回し、扇子を手に動き回る姿はエキゾチック。綺麗に結われた日本髪も、京都で蝶々髷とも呼ばれる銀杏返しを連想させる。このCMは、プッチーニ作曲のオペラ『蝶々夫人』をパロディー化したもの。船の大砲が発射されると、蝶々夫人の頭に『いか塩辛』の瓶が当たる。煙突から煙を吐き、動き出す黒船。白いハンカチを振り見送る蝶々夫人。いかの塩辛を肴に酒を飲み始めるが、テーブルには次々とお銚子の数が増えていく。徐々に深くなる夕闇、そして流れ星が長酒を物語っている。

ラベル:

桃屋TVCM076-1971-紫式部




時間:30秒
商品名:江戸むらさき特級
制作年:1971年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

湖畔にたたずむ1軒の家。机に向かって筆を走らせる着物姿の女性は、紫式部ならぬ、江戸むらさき式部。「おなかが空くと、なんにも書けない」と机に突っ伏し、ひたすら硯で墨をする。外では荷車を引く「引っぱる源氏」が、平安時代には似つかわしくないハンドスピーカーで、チリ紙交換ならぬ、『(江戸むらさき)特級』交換とアナウンス。当時のチリ紙交換車が急増したという社会事象を反映。当然、荷車にはチリ紙ではなく、海苔の佃煮の瓶が載せられている。のり平式部は荷車の男のもとへ一直線。海苔の佃煮を手に入れると空腹を満たし、再び創作活動に取りかかる。BGMは筝曲。「やんごとなき」、「いと」などといった古語が使われているのも特徴的。

ラベル:

桃屋TVCM075-1969-温泉




時間:30秒
商品名:いか塩辛
制作年:1969年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

1966年に白黒で放映された「温泉」編のカラー版。山々や田畑の風景、「SOS」の煙や銚子の形、湯気などが新たに描き直された。CMの冒頭、蒸気機関車はよく晴れた青空の下を走っているが、トンネルを抜けて「おんせん」駅へ臨時停車する頃には夕方になり、空は茜色に。のり平運転士が露天風呂へ飛び込む頃には夜空に星が浮かび、お猪口を片手にくつろぐのり平の背景には黄色く輝く満月が。こうした時間の経過は白黒版ではわかりにくかったが、カラー版では見事に描写されている。BGMと台詞は白黒版と同じとみられる。のり平運転士のキャラクターも、描き直されずに色がつけられているようだが、煤の汚れの付き具合が白黒版とカラー版では異なる。

ラベル:

桃屋TVCM074-1969-クレオパトラ




時間:30秒
商品名:花らっきょう
制作年:1969年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

1966年に白黒で放映された「クレオパトラ」編のカラー版。冒頭シーンのピラミッドの大きさや、宮殿の建物の特徴の違いから背景が描き直されているのがわかる。宮殿の壁や柱、ベッドのデザインも白黒版では異なる。のり平クレオパトラの着ている服も、白黒版では真っ白なワンピースだったものが、カラー版では派手なピンクに。体に巻かれた半透明の紫色の布は、当時流行のシースルー・ファッション。白黒版では毒蛇が1匹ずつ現れるが、カラー版では2匹揃って登場。商品名が変わったこともあり、毒蛇のシーンは台詞も差し替えられた。白黒版では台詞で説明しなければならなかった商品の違いを、カラー版では色によって視覚的に表現している点に注目。

ラベル:

桃屋TVCM073-1969-駅長



時間:30秒
商品名:江戸むらさき特級
制作年:1969年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

1964年に白黒で放映された「駅長」編のカラー版。よく見ると背景全体が描き直されている。山や森に囲まれ、青い鳥の飛び回るのどかな田舎。畑のなかにたたずむ赤い屋根の駅舎の傍らで、箒を手にプラットフォームを掃除しているのり平駅長。隣でその様子をうかがう鶏の姿も白黒版とは少し違う。また、高速で駅を通過する列車のフェイス下半分が青く色づけられたことにより、当時運行していた初代の新幹線車両「新幹線0系」の特徴がより鮮明に。アップで映し出される『江戸むらさき特級』の瓶のラベルが紫色をしているのも目に付く。ちなみに、BGMと台詞は白黒版と同じまま。のり平駅長のキャラクターも書き直されずに色がつけられた。

ラベル:

桃屋TVCM072-1969-コンピューター



時間:30秒
商品名:いか塩辛
制作年:1969年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

このCMは、桃屋が提供を行っていた1968年11月放送開始のフジテレビ系列歌謡バラエティー番組『夜のヒットスタジオ』をパロディー化したもの。同番組放送開始当初の目玉企画の一つに『コンピューター恋人選び』があり、同コーナーでは女性歌手が号泣するハプニングが続発。それを契機として視聴率が急上昇、「ドル箱」番組となった。CMでは、食生活の嗜好が次々と電子計算機にインプットされ、食卓の恋人としていか塩辛がはじき出される。その結果に、ステージ上の着物姿の女性歌手が一粒の涙をこぼし、照れ笑い。歌い出す「コンピューター好みの、お酒好みの」は、1969年にミリオンセラーとなった奥村チヨの『恋の奴隷』の替え歌。

ラベル:

桃屋TVCM071-1969-夏料理3(江戸むらさき)



時間:30秒
商品名:江戸むらさき
制作年:1969年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

桃屋CM夏料理シリーズの江戸むらさき編。他の2作品は中華シリーズ商品のため構成が似ているが、本作品は全面的に実写映像が採用され、全く異なる仕上がりに。シンクで水を浴びる緑黄赤の色鮮やかな野菜。横に並ぶのは江戸むらさき特級と幼なじみ。「涼しく食べましょう」とナレーションが入り、海苔の佃煮を使った夏ならではの料理法が紹介される。まず、冷やしたきゅうりを縦に切り、佃煮をのせた「もろきゅう」ならぬ「むらきゅう」。次に、山芋と佃煮と卵の混ぜ合わせ。続いて、冷奴と冷そうめんのトッピング。画面が一瞬変わり、すだれと涼しげに鳴る風鈴を写すと、最後は縁側のような日の当たる木床に並ぶ2本のビン。そこへ、ステテコに腹巻姿、団扇片手ののり平がアニメーション合成で登場。「食欲のないときには」のナレーションが、健康への効果をアピールしている。

ラベル:

桃屋TVCM070-1969-夏料理2(メンマ)




時間:30秒
商品名:メンマ
制作年:1969年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

桃屋CM夏料理シリーズのメンマ編。前半はアニメーションで構成され、チャイナ服姿の少女が宮殿のようなところで銅鑼を打つ。場面は竹林に変わり、「中国は本場のたけのこ」を山のように積んだリヤカーをロバのような動物に牽かせ、歩く少女。続く実写シーンでは、夏ならではのメンマの食べ方を紹介。まず、氷の入ったグラスに注がれる酒の肴として、涼しげなガラス皿に盛り付けられるメンマ。次は、冷やしラーメンのトッピング。そして、野菜炒めの具としてメンマが活躍。最後は、オレンジ色のチャイナ服に白いエプロン、コック帽をかぶった料理人がアニメーションで登場し、韻を踏んだギャクでメンマを宣伝。

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桃屋TVCM069-1969-夏料理1(榨菜)




時間:30秒
商品名:搾菜
制作年:1969年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

宮殿のような場所で、銅鑼を思い切りドーンと打つチャイナ服の少女。「中国は四川省、本場の榨菜」というナレーションとともに、山に囲まれ、青々と繁った葉が何列にも並ぶ畑、榨菜の原産地である「四川省」の文字が書かれた2つの壺、そして豚の親子が映る。少女が葉を引っこ抜き転倒するが、起き上がると彼女の手には『榨菜』の瓶が。続いて実写のシーンに変わり、食べ方を紹介。まず、食卓に並ぶのは泡立つビールとおつまみとしての榨菜。次に、お茶漬け、おかずとしての榨菜が。更には、サラダのトッピングとして盛り付けられる。「食欲出る」、「体にもいい」というナレーションが入り、夏場の料理における榨菜の良さをアピールした作品。

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桃屋TVCM064-1969-かくれんぼ




時間:30秒
商品名:江戸むらさき幼なじみ
制作年:1969年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

海が見える丘の麦畑。木の幹に顔を伏せて、かくれんぼをする麦わら帽子の男の子。お地蔵さんの後ろに隠れた女の子を見つけ、愛の告白をしようと突進するも、抱きついたのは女の子ではなくお地蔵さん。場面は変わって、時は現在。幼い頃を思い出して、ホロリと涙を流す男。『江戸むらさき幼なじみ』の瓶を手に取り、頬を寄せる。部屋の壁にかけられた額縁には懐かしい麦畑の風景。窓の外に見えるコンクリート・ジャングルとは対照的である。「ふるさとは、遠きにありて思うもの。幼なじみは近くにありて食べるもの」という台詞は、室生犀星の詩『小景異情』の1節を引用、パロディー化したもの。BGMは、スコットランド民謡の『夕空晴れて』の替え歌。

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桃屋TVCM062-1968-宇宙旅行




時間:30秒
商品名:江戸むらさき特級
制作年:1968年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

星の瞬く無重力空間にフワリと現れる宇宙飛行士、のり平。『炭坑節』の替え歌を口ずさみながら、宇宙を縦横に歩き回る。すると、遥か彼方から流れ星のように飛来する輝く物体が! 「特急で接近中」というナレーションとともに映し出されるのは、謎の物体の正体、『江戸むらさき特級』の瓶。のり平飛行士は右手にグローブをはめ、野球のライナーさながらに瓶を見事キャッチ。地球を眺めながら、海苔の佃煮が置かれたちゃぶ台の前に正座し、静かにごはんを食べるのり平飛行士。「地球は青かった、そして江戸むらさきはうまかった」という台詞は、1961年に有人宇宙飛行に成功した旧ソ連の飛行士、ガガーリン少佐の名言を引用、パロディー化したもの。

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桃屋TVCM061-1968-親孝行



時間:30秒
商品名:メンマ
制作年:1968年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

場所は中国。降り積もる雪景色に浮かび上がる1軒の家。そこに、額に氷嚢を当てて寝込んでいる父親と、看病する息子がいる。「竹の子が食べたーい」、「無理でもなんでも食べたーい!」と訴える父親に、「冬に竹の子があるものか」と諭す息子。すると、まるで竹の子が生えてくるかのように、雪のなかから『味付メンマ』の瓶が現れる。息子は嬉しそうに瓶を手に取り、病床の父親に与える。父親はパクパクとこれを食べ、「おかげで元気が出たよ」とご満悦。再び床に就いた父親の額には、氷嚢ではなく『味付メンマ』の瓶。中国に伝わる親孝行者24名の物語『二十四孝』から、病身の母親に竹の子の吸い物を食べさせようと奮闘する孟宗の話に着想を得たストーリー。

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桃屋TVCM060-1968-中国物語



時間:30秒
商品名:搾菜
制作年:1968年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

桃屋初カラー作品4本の一つ。当時、新発売された中華シリーズのCMであり、中国の歴史的人物に関する教養が盛り込まれた作品。一人目は、戦国時代中国の儒学者、孟子の母。孟母三遷の話をネタに、墓地でも市場でも学問所でもなく、搾菜のためにと漬物屋の隣へ引っ越し。場面が変わると、中国秦末から前漢初期の武将、韓信にまつわる故事、淮陰の股くぐりのパロディー。続いて、広大な大地を馬に乗って疾走するのは、モンゴル帝国の始祖ジンギスカン。史実や故事のパロディーではなく、「ジンギスカン」という人物と羊肉料理の同音異義語によるギャグ。最後は、春秋時代の儒家の始祖、孔子と思われる人物が登場し、ナレーションで「子曰く」と『論語』のフレーズを引用。各パロディーの切り替え効果に左下からのページロールが採用され、制作者の工夫が見られる。

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桃屋TVCM059-1968-オムスビウェスタン



時間:30秒
商品名:なめ茸むらさき
制作年:1968年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

桃屋CMで初のカラー版となった作品。赤い夕陽が照らす荒野を、馬に乗ってさすらうのり平ガンマン。空腹で目を回し、落馬すると、岩の影からかわいいインディアン風の少女が顔を出し、手招きする。彼女は、ぐったりと横たわるのり平ガンマンの前に座り、大きなおむすびと『なめ茸むらさき』の瓶を差し出す。感激して飛び起きるのり平ガンマン。夜更けのオオカミの遠吠えを聞きながら、2人は小屋のなかで仲睦まじくおむすびを食べる。1960年代後半は、西部劇映画の全盛期。1967年日本公開の『夕陽のガンマン』に代表される「マカロニウェスタン」と呼ばれるイタリア製西部劇も流行した。「オムスビウェスタン」のタイトルは、ここから来ている。

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桃屋TVCM058-1968-怪獣



時間:30秒
商品名:江戸むらさき
制作年:1968年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

突如、海から出現する巨大怪獣。ビル街に立ちはだかり、「おいらは怪獣、マズイラだぁ」と、口から「マズイ」という文字を放つ。家のなかで怪獣図鑑を読んでいた坊やが窓の外に目をやると、そこにはマズイラが! 怪獣が少年に襲いかかると、間一髪で「正義の味方」のり平ヒーローが空を飛んで助けにやってくる。『江戸むらさき』を口元へ投げつければ、マズイラは慌てて退散。この様子を冷静に実況解説しているのは江戸川アナウンサー。江戸川アナウンサーの手つきは、当時話題の人であった映画解説者・淀川長治氏を思わせる。怪獣マズイラは日本が誇る特撮映画の『ゴジラ』を、のり平ヒーローはテレビシリーズ『スーパーマン』をパロディー化したものだろう。

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桃屋TVCM057-1968-いかだ



時間:30秒
商品名:いか塩辛
制作年:1968年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

峡谷の川を三艘続きのいかだ舟に乗り、流れ下りてくるのり平船頭。捻り鉢巻に法被姿で竹棹を手に漕ぎながら、ゆったりと「さあ、天竜下れば」と『伊那節』の替え歌を披露。水しぶきがかかったのり平は川へ転落し、いかだ舟に向かって叫んでいると、流れてきたいか塩辛のビンが肩にぶつかる。次の場面では、のり平はいかだ舟の上で胡坐をかき、塩辛を肴に独酌。再び法被を身にまとい、力強く船を漕ぎ始めるのり平。最初と最後の場面における水墨画のようなタッチで描かれた峡谷の背景画も、この作品の見どころ。天竜川は長野県の諏訪湖釜口水門を源流とし伊那谷を形成、一部愛知県を通り、静岡県を経て太平洋へ注ぐ一級河川。

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桃屋TVCM056-1968-西郷飯盛




時間:30秒
商品名:しいたけのり
制作年:1968年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

江戸と明治の時代の変わり目。馬に乗り数名の歩兵を連れて、江戸へ倒幕に向かうのは、のり平扮する薩摩藩士の西郷隆盛。途中の戦場では、胡坐をかいた膝の上に米桶を抱えながら悠々とご飯と海苔の佃煮を楽しむも、ミサイルのような大きい弾丸が直撃。吹き飛ばされた西郷は上野の森へ一直線、ポチャリと池に墜落。軍装を解き、丸長の顔立ち、ふっくらしたお腹が目立つ和服姿の西郷は、大きな炊飯釜の蓋の上でポーズ。この場面は、1898年に上野恩賜公園に建設された高村光雲作の銅像をパロディー化したもので、西郷の右側にはツンという名の犬の代わりに、紐に繋がれた海苔の佃煮のビンが。ちなみに、冒頭に流れるのは薩長兵士の軍歌『トコトンヤレ節』の替え歌。『宮さん宮さん』という別称でも有名だが、歌詞にも現れるこの宮さんとは、有栖川宮熾仁親王のことである。

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桃屋TVCM055-1968-007



時間:30秒
商品名:搾菜
制作年:1968年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

ミステリアスな小型機からパラシュートで降下する人影。ライターで導火線に火が点けられ、家屋が吹き飛ぶ。暗い室内に伸びる、帽子を被った男のシルエット。彼の視線は金庫を素通りして、冷蔵庫に。そして、冷蔵庫のドアが開くと、桃屋のロゴがついた瓶詰がずらりと並ぶ。「おお、これだ、世界中が皆狙う」、と『榨菜』の瓶を手にするのはジェームズ・ボンド風のり平。トレードマークの丸眼鏡をサングラスの上からかけ、「二重(眼鏡)スパイ」を気取る。BGMに流れるのは、『007』シリーズの『ジェームズ・ボンドのテーマ』を思わせる音楽。このCM放映の前年、1967年公開の『007は二度死ぬ』の舞台は日本で、ボンドガールを浜美枝が務めた。

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桃屋TVCM054-1968-バスガイド



時間:30秒
商品名:なめ茸むらさき
制作年:1968年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

霧のかかる山道。急なカーブを崖ぎりぎりで曲がる一台のボンネットバス。バスガイドのアナウンスに合わせて車窓を覗く観光客たち。バスガイドの歌声に客が手拍子、拍手する場面は、現在でも見られる光景である。のり平バスガイドの髪型は、1960年代後半に流行したツイッギー風ショートカット。日本でバスガイドが登場したのは1920年代後半。1949年には、現株式会社はとばすで女性ガイド第一期5名が採用され、60年から70年代当時、女性の憧れの職業の上位にランキングされるほど人気があった。ボンネットバスは1950年代に全盛期を迎えたとされ、60年代から70年代にかけて輸送効率を重視する時代の流れとともに生産中止となった。一方で、CMで描かれたような山間部ではカーブや狭隘な道路における乗り回しの良さから、生産中止以降も多用された。

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桃屋TVCM045-1967-のり平



時間:30秒
商品名:しいたけのり
制作年:1967年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

アニメーションと実写映像の合成版。のり平が登場するも、台詞は一つもない、桃屋TVCMではめずらしい内容。拍子木の合図とともに現れた人形劇のような舞台の上で、柳の隣に立つのは、実物大のしいたけを傘に差したミニサイズのり平。三味線の音とともに、「問われて名乗るも、おこがましいが」と女性の声でナレーションが入り、それらに合わせて舞台上ののり平は見得を切る。三味線の演奏が始まってからここまでは歌舞伎『青砥稿花紅彩画』、別称『白浪五人男』における稲瀬川の場、日本駄右衛門の渡り台詞がモデル。ナレーションは続き、女性の手が伸びてのり平からしいたけを取り上げると、海苔の佃煮のビンの中へ。その後も手に乗せられたり、指で突かれたり、ビンの下敷きにされたりと、最後まで舞台上ののり平が女性に翻弄される、シュールな一作。

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桃屋TVCM044-1966-合戦



時間:30秒
商品名:かつを塩辛
制作年:1966年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

山々に囲まれた広大な野原に河川を挟んで陣を取り、向かい合う2つの軍勢。桃のマークが描かれた幟旗は風にはためき、馬印には飛び交う弓矢が突き刺さる。一方、川から馬に乗って現れたのは桃屋の国の住人、武士のり平。背中に幟を掲げ、兜鎧を着用し、片手に旗印の入った扇子を広げる様子は、武士のステレオタイプを反映しているようで興味深い。一方、兜の頭から桃印の小旗が飛び出す様子はいかにもコメディーらしい。続いて、武士の前には徳利2本とかつを塩辛のビンが登場。武士は酔っ払い、馬も座り込んでうたた寝を始める。CMでは終始、講談を思わせる名調子でナレーションが続く。後半の「飲んで兜の緒を締めよ」は「勝って兜の緒を締めよ」の言い換え。

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桃屋TVCM043-1966-姿三四郎



時間:30秒
商品名:鯛でんぶ
制作年:1966年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

西郷四郎をモデルとした富田常雄の小説『姿三四郎』のパロディー。桃屋流柔術指南所の看板がかかった建物へ道場破りにやってきた姿三四郎版のり平。一人目の相手は腰車で、二人目は山嵐で、軽々と投げ飛ばす。山嵐という技は西郷の得意技であり、編み出したのも西郷本人と言われる。『姿三四郎』の小説、映画やテレビドラマで必殺技として有名となったが、実際の所作は背負投と払腰を合わせた形とされ、のり平の動きとは異なる。三人目に立ち向かうも鯛でんぶの缶に気を取られ、次の瞬間のり平の視野は360度回転、投げ飛ばされ、道場の壁を突き破る。全身傷だらけで戻ったのり平の台詞に「人に勝つよりでんぶを食え」。これは『姿三四郎』における名台詞「人に勝つより自分に勝て」をもじったもの。ちなみに、1943年の映画版は黒澤明の監督デビュー作である。

ラベル:

桃屋TVCM042-1966-勧進帳



時間:30秒
商品名:江戸むらさき特級
制作年:1966年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

舞台上で演じられているのは歌舞伎十八番『勧進帳』。のり平扮する山伏姿の弁慶が「待て、待て待て待て」と関守富樫左衛門に呼び止められ、引き戻される所作はいかにも歌舞伎風。富樫の詮議に、のり平弁慶は「背中に負いし(おいし)」と「美味しい」をかけて、「美味しいお弁当なり」と、葛篭(つづら)から握り飯と『江戸むらさき特級』を取り出す。のり平弁慶の「これぞ桃屋の海苔の佃煮」、及び、富樫の「して、佃煮の名前は何と、さあ、さあ、何と、何と」という独特の台詞回しは、歌舞伎を意識した秀逸なパロディ。BGMに流れる邦楽も格調高く、歌舞伎の雰囲気をよく伝える演出。1966年のNHK大河ドラマは、尾上菊五郎主演の『源義経』であった。

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桃屋TVCM041-1966-パトカー



時間:30秒
商品名:江戸むらさき
制作年:1966年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

夜の高速道路をひた走るパトカー。「事件発生、事件発生。こちら本部。桃屋1号、現場に急行せよ。どうぞ」という音声とともに、住宅街にたどり着いたパトカーから顔を出すのは、ヘルメットを被ったのり平警官。ガタガタと派手に揺れる一軒家では窓が割れ、鍋、フライパン、そして猫までが飛んでくる。のり平警官が匍匐前進しながら近づくと、飛んできた『江戸むらさき』がヘルメットを直撃する。夫婦喧嘩の理由を聞いたのり平は、「あ、なるほど、原因は江戸むらさきの奪い合いでした。どうぞ」と無線で報告。住人の台詞にテープの早回しが演出として使われているのが興味深い。日本の高速道路は、1964年の東京オリンピックに向けて建設、整備されていた。

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桃屋TVCM040-1966-易者



時間:30秒
商品名:鯛みそ
制作年:1966年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

街灯のともる薄暗い路地の脇で、「お待ちなさい」と通行人を呼び止める黒頭巾の易者。目の前のテーブルには、明るく輝くランプと白い水晶玉が。易者が包み込むように水晶玉に両手を向けると、今日のおかずに迷っている通行人の姿が映し出される。続いて、易者がカードを広げ一枚抜くと、そこには鯛みその缶の絵が。「迷わずこれに決めなさい」と、袖元から鯛みそ缶を取り出して通行人に指南しつつも、続くシーンではその缶を開け易者自身が鯛みそを堪能。CMの途中、缶のラベルに描かれている鯛が絵から飛び出して新鮮さをアピールするかのように動きを見せたり、最後には「ウヒヒのヒ」という台詞に合わせて缶を左右上下に変形させ、缶そのものが笑っているかのように擬人的に表現したりと、占星術というよりはマジックを連想させるような、ユニークな技巧が使われている一作。

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桃屋TVCM039-1965-牛若丸



時間:30秒
商品名:江戸むらさき特級
制作年:1965年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

義経伝説で有名な源義経と武蔵坊弁慶の出会いをパロディー化した作品。満月の夜、笛を吹きながら京都の五条の橋を渡る義経。そこへ弁慶が登場。全身ではなく、画面の左右両脇に大きく開かれた向こう脛が描かれているのみだが、「仁王立ち」、「泣き所」といった弁慶のイメージを連想させる、秀逸なショットである。義経は「シェー」と驚きのポーズを取るが、これは当時大流行していた赤塚不二夫作のマンガ『おそ松くん』の登場人物、イヤミのギャグ。伝説のとおり、八艘飛びで橋の欄干を飛び交い、弁慶の攻撃をかわす義経だが、この作品では途中で頭から転倒。海苔の佃煮のビンを差し出し、助けを請う義経に、弁慶は「これぞ弁慶の泣き所」と大量の涙を流す。決まり文句の「何はなくとも」が、「太刀はなくとも」に言い換えられているのも聞きどころ。

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桃屋TVCM038-1966-温泉



時間:30秒
商品名:いか塩辛
制作年:1966年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

田畑と山々の合間を「ガタゴト、ガタゴト、ピーポッポ」と走る蒸気機関車。急な上り坂にさしかかると、煙突からは、「SOS」という文字の形の真っ黒な煙が。のり平扮する機関士は、豚を乗せた貨物車両を後ろから押している。トンネルをくぐり抜けると、のり平の服も顔も煤で真っ黒に。そこで臨時停車したのが「おんせん」駅。隣駅は「あっち」と「こっち」。服を脱ぎ、露天風呂へ飛び込むと、「お湯よし、酒よし、肴よし」と、『いか塩辛』をつまみに、銚子とお猪口で1杯。ほろ酔い気分に。脱衣場でのり平が歌っている「こんなよいとーこ、1度はァおいで」は、民謡『草津節』の替え歌。「温泉」編は、3年後の1969年にカラー・リメイク版が放送された。

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桃屋TVCM037-1966-クレオパトラ



時間:30秒
商品名:花らっきょう
制作年:1966年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

砂漠にそびえるピラミッドと宮殿。「昔、遠いエジプトの砂漠に、絶世の美人がおりました」というナレーションとともに姿を現すのは、ベッドに横たわったのり平扮するクレオパトラ。2匹の毒蛇がエキゾチックなBGMのリズムに乗って「こちらが甘口、青ラベル」、「こちらが辛口、白ラベル」と2種類の『花らっきょう』を紹介。毒蛇が登場するのは、クレオパトラ7世が毒蛇に自分を噛ませて自殺したという歴史上のエピソードにちなんだもの。このCMが放映される3年前の1963年には、エリザベス・テーラー主演のハリウッド大作『クレオパトラ』が公開された。この「クレオパトラ」編は3年後の1969年にカラー・リメイク版も放映されている。

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桃屋TVCM023-1964-オリンピック水泳



時間:30秒
商品名:花らっきょう 葉唐がらし いか塩辛 かつを塩辛 江戸むらさき
制作年:1964年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

両脇に観客スタンドが並ぶ5レーンの水泳場。第1レーンのスタート台にはかつを塩辛のビンが描かれ、その上では体格のいい男がポーズを取っている。首に蝶ネクタイ、頭にヘッドフォンをしたのり平がマイクに向かって、第2レーンは葉唐辛子、花らっきょう、いか塩辛、江戸むらさきと各レーンの紹介を続ける。競技後、スタート台にはそれぞれのスタート台には5つのビンが並び、「只今の結果、味の新記録」のアナウンス。後半部分は桃屋TVCMの別編「オリンピック宣誓」とほぼ同様。この作品は、1964年に開催された東京オリンピックにちなんで制作されたもの。水泳競技は国立代々木競技場第一体育館で行われ、ドン・ショランダーが2種目で金メダルを獲得するなど、米国勢が活躍を見せた。日本は男子800メートル自由形リレーで銅メダル。

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桃屋TVCM022-1964-オリンピック宣誓



時間:30秒
商品名:花らっきょう 葉とうがらし いか塩辛 かつを塩辛 江戸むらさき
制作年:1964年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

このCMは、1964年に開催された東京オリンピックがテーマ。冒頭、聖火がアップに。月桂冠を被り、手を挙げて「宣誓! 私たちはここに集い」と選手宣誓を行うのは、のり平選手。続いて、「酒の肴に、ごはんのおかず、朝めし前のお茶漬けに、江戸むらさき、花らっきょう、かつをの塩辛、葉唐がらしにいかの塩辛、私たちは選ばれた桃屋の代表選手です」と桃屋商品ラインナップを一気に紹介。「栄えある五瓶のマークです」と映し出される旗に、「五輪」ではなく、桃屋瓶詰のふたが5つ並んでいる。「桃屋の瓶詰は、食べることに意義がある」という台詞は、近代オリンピックの祖と言われるクーベルタン男爵の「参加することに意義がある」を引用したもの。

ラベル:

桃屋TVCM021-1964-駅長



時間:30秒
商品名:江戸むらさき特級
制作年:1964年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

小鳥のさえずるのどかな風景のなかにたたずむ小さな駅。「わたすぃは田舎の駅長さんでぃす、兼小使いさんでぃす」と、訛って語るのり平。「どれ、お昼にすっかな」とお弁当を広げると、列車が高速で駅を通過する。のり平駅長は巻き起こった風に煽られて転倒。走り去る列車を眺めて「あンれは、特級も特級、江戸むらさきの特級だぁ」と嬉しそうな顔をする。このCMが放映された1964年の10月1日、日本では東海道新幹線が開通。ひかり号が東京と新大阪間を約4時間で結び、「夢の超特急」と呼ばれていた。このことから、「特級」と「特急」という言葉をかけて、この「駅長」編が作られたと考えられる。このCMは5年後の1969年にカラーで再放送された。

ラベル:

桃屋TVCM020-1964-討ち入り



時間:30秒
商品名:花らっきょう
制作年:1964年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

人形浄瑠璃及び丸本歌舞伎の演目『仮名手本忠臣蔵』で有名な元禄赤穂事件のパロディー。雪の降る夜、江戸の町を忍び歩く一行は大石内蔵助良雄の率いる赤穂浪士四十七士。大石の合図とともに桃屋のマークのついた陣太鼓が鳴ると、一行は吉良屋敷へ。「薪」、「炭」とマークのついた炭小屋の障子が開かれ、松の廊下事件で切腹処分となった主君浅野内匠頭長矩の仇、吉良上野介義央を見つけるも「おまえじゃない」と一蹴。カメラがパンするような右から左への素早いスライドで場面が切り替わり、満月の輝く庭へ。赤穂浪士が花らっきょうを見つけ、ご満悦。1964年、長谷川一夫主演のNHK大河ドラマ『赤穂浪士』が放映され、平均視聴率31.9%の人気を博す。ちなみに、このCMと同じ討ち入りの場面が放送された回では、同ドラマでの最高視聴率53.0%を記録した。

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桃屋TVCM019-1964-松の廊下



時間:30秒
商品名:江戸むらさき
制作年:1964年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ


元禄14年、江戸城。本丸御殿の大広間と将軍との対面所である白書院をつなぐ松之大廊下で、背中合わせのまま睨み合い、火花を散らす吉良上野介義央と浅野内匠頭長矩。人形浄瑠璃や歌舞伎、小説や舞台、テレビドラマ、映画などで有名な通称『忠臣蔵』において事の発端となる史実、松の廊下事件がモデルとなっている。廊下の由来となった襖絵は松並木が続いたものとされるため多少の違いはあるものの、この作品でも襖絵には日本画調で松の絵が描かれ、また床の畳敷きも表現。これらの細部にこだわった背景画がパロディーの土台を支えている。ちなみに、江戸城は現在の皇居。また、「ジロリ」という擬態語の台詞は、当時テレビで放映されていた人形劇『チロリン村とくるみの木』から流行した言葉を反映したものと考えられる。

ラベル:

桃屋TVCM015-1963-国会



時間:30秒
商品名:花らっきょう
制作年:1963年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

国会議事堂の演壇で熱弁を振うのり平議員。「今や世界は、宇宙でランデブー、月世界でおデート」という台詞は、1962年の旧ソ連による有人衛星「ボストーク3号」と「ボストーク4号」打上げ、及び宇宙空間における「ランデブー飛行」の成功を取り上げたもの。「らっきょうを食べて宇宙へ行こう」は、1961年の寿屋(現・サントリー)のCM、「トリスを飲んでハワイへ行こう」を引用したパロディー。野次とともに壇上へリンゴが投げつけられると、「ニュートンはリンゴで引力を知り、桃屋はリンゴで美味しいらっきょう、らっきょうで健康、らっきょうで美容」と、のり平が演説。桃屋CM常套句の「酒の肴、ごはんのおかず」に加えて健康や美容もアピール。

ラベル:

桃屋TVCM014-1963-新婚



時間:30秒
商品名:葉とうがらし
制作年:1963年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

深々とおじぎをして、「えー、またまたコマーシャルでございます」と挨拶するのり平。その前では新婚夫婦が食事中。夫がテレビのスイッチを切ると、「ねえ、なんで消しちゃうの?」と、のり平が画面から飛び出してくる。『葉唐がらし』の説明を始めるのり平だが、2人がそれを食べていることに気付き、冷やかし始め、若夫婦は照れ笑い。桃屋のり平アニメCMでは初の実写合成版。台詞にある「スカッとさわやか」は日本コカ・コーラのCM、「明日を食べぬこう」は田辺製薬の「アスパラで生きぬこう」をそれぞれ引用してパロディー化したものと考えられる。1962年にはNHKテレビ受信契約数が1000万台突破。すでに一般家庭にも白黒テレビは普及していた。

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桃屋TVCM013-1962-宮本武蔵



時間:30秒
商品名:花らっきょう
制作年:1962年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

二度のディゾルブによって強調される霧の深い林の中。静寂のなかに、鐘の音が響き渡る。場所は一乗寺下り松、江戸初期の剣客宮本武蔵と京都の兵法家吉岡一門の決闘場。吉岡家の登場に、鉢巻をし、襷をかける宮本武蔵。次から次へと向けられる無数の刀を相手に、二天一流の祖である武蔵は二刀流で応戦、華麗な立ち廻りを見せる。一方、台詞では、食事のために決闘に遅刻した武蔵が「おかずはなんだ」と吉岡一門に問われ、「男は度胸、女は愛嬌」「(おかずは)桃屋の花らっきょう」と押韻のダジャレで返答。アニメーションという視覚情報には笑いの要素を控え、一見、本格的な時代劇アニメのようにも見えるこの作品。台詞という音声情報に主にパロディー性を盛り込んでいるところが、画面と音声とのギャップを生み出し、面白さを増している。当時、内田吐夢監督、萬屋錦之助主演により、1961年から1年1作のペースで映画『宮本武蔵』全5部作が製作公開されていた。

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桃屋TVCM012-1962-弁天小僧



時間:30秒
商品名:江戸むらさき
制作年:1962年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

どこからともなく聞こえてくる「コレなあに?」、「知らない」という会話のやりとり。それを聞きつけ、『江戸むらさき』の瓶から、まるで『アラジンと魔法のランプ』の魔人のように出現してくるのは、歌舞伎『青砥稿花紅彩画』の登場人物、白浪五人男の1人である弁天小僧。浜松屋の場で弁天小僧が披露する「知らざぁ言って聞かせやしょう」という歌舞伎の名台詞から始まり、「酒の肴やごはんのおかずに」と『江戸むらさき』についてテンポよく紹介している。BGMに流れる三味線の音色がCMに歌舞伎劇の臨場感を与え、あたかも1つの演目が上演されているかのように演出されている。

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桃屋TVCM011-1962-ネズミ小僧



時間:30秒
商品名:いか塩辛
制作年:1962年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

三日月の夜、空っぽになった茶碗4杯と『いか塩辛』の瓶詰に囲まれた殿様のいる屋敷へ侵入したのは、江戸末期の義賊、ネズミ小僧ならぬ塩辛小僧。「曲者!」と身構える殿様も、塩辛小僧が塩辛の香りに誘われてきたと聞くと、「あっぱれ! あっぱれ!」と手のひらを返したように上機嫌に。続くナレーションでは、商品のいか塩辛を擬人化して、「お酒のお供に」、「ごはんの家来に」と食べ方を紹介。殿様は「いかにも!」と納得するが、これは「如何にも」という言葉に、いか塩辛の「イカ」を掛けた台詞である。

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桃屋TVCM010-1962-森の石松



時間:30秒
商品名:かつを塩辛
制作年:1962年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

高くそびえる富士山を背に、三度笠を深くかぶり、合羽を肩にかけ、股を広げて左手を前に出し、「お控えなすって」と仁義を切りながら前進してくる渡世人。素早く三度笠と合羽を脱ぎ、刀をはずして右隣に置くと、左膝を地面につき、右膝を立てた格好で、「手前、生国と発しまするは」と口上を述べる。三度笠からかつを塩辛のビンを出し、「朝のごはんに、晩のおかずに、酒の肴に」とリズムにのって説明を終えると、再び刀を腰に差し、合羽と三度笠を手にとって旅路へ。この渡世人は、幕末期に活躍した侠客であり、また清水次郎長の子分とされる森の石松のパロディー化したもの。BGMに穏やかに流れる三味線が、浪曲の雰囲気を演出している。

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桃屋TVCM009-1960-貫一お宮



時間:60秒
商品名:江戸むらさき
制作年:1960年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

満月の輝く、松林の並ぶ海岸。そこに現れる、学帽に詰襟の男性と、日本髪に着物を纏った女性。BGMに流れる「熱海の海岸散歩する、貫一お宮の二人連れ」という歌詞からわかるように、尾崎紅葉作の長編小説『金色夜叉』のパロディー。途中、涙しながら佃煮入りのご飯を食べるお宮が「千年も万年も、このおかずで食べたいわ。ねえ、武男さん」と発言。これは徳富蘆花作の家庭小説『不如帰』のパロディーで、登場人物浪子の台詞「武男さん」、逗子海岸の場における「生きたいわ、千年も万年も生きたいわ」をもじったもの。続く貫一の台詞には『金色夜叉』の名台詞「来年の今月今夜(中略)、僕の涙で必ず月は曇らしてみせる」を引用。文学知識をユーモアの基盤に、二つの明治文学をパロディーとして合体させた作品。

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桃屋TVCM008-1961-八木節



時間:30秒
商品名:江戸むらさき
制作年:1961年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

俯瞰の構図から徐々にズームインされる、舞屋台とも巨大屋台とも言われる祭の屋台。BGMに流れるのは、栃木及び群馬県境の八木地方を中心に伝えられる民謡、八木節。屋台の上では、のり平が頭に捻り鉢巻、法被に襷、腹には晒しを巻き、足袋姿という格好で、太鼓の撥を手に踊っている。のり平が歌う七七調の八木節の替え歌に合わせて、舞台は屋台から「四角四面のお膳の前」へ。正座をしたのり平の前に並ぶ、茶碗と海苔佃煮のビン。またその横にはご飯の入ったお櫃が。八木節では、樽や桶を中心にした囃子道具として、鼓、鉦などが使われるため、このお櫃でさえも囃子道具の一つであるかのように見えてしまう。撥を箸に持ち替えたのり平は、佃煮をまぶした茶碗大盛りのご飯をパクリ。最後は満悦の表情がクローズアップに。

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桃屋TVCM007-1961-月形のり平太



時間:30秒
商品名:江戸むらさき
制作年:1961年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

三日月の夜、薄暗い風景のなかに浮かび上がる東山の山々と五重塔の輪郭。続いて丸窓に映し出される、男の頭のシルエット。場面は部屋に移り、海苔の佃煮をまぶした山盛りの茶漬けをすする月形のり平太と芸妓が登場。名前と設定からわかるように、このCMは行友李風作の戯曲であり、新国劇や映画で知られる『月形半平太』をパロディー化したもの。満腹になり、刀を腰に差して散歩へ出かけようとするのり平太を、「待て」と止めにかかるのは、お茶漬組の近藤イチャム。天然理心流の剣士、幕末新撰組の局長であった新撰組の近藤勇をパロディー化したもので、法被の背には、新撰組シンボルの「誠」の字の代わりに「勇」と書かれている。海苔と茶漬を使った言葉遊びが、人名から台詞にまでふんだんに盛り込まれた作品。

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桃屋TVCM006-1961-浦島太郎




時間:30秒
商品名:江戸むらさき
制作年:1961年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

崖の上から海へ釣り糸を垂らし、体育座りをして「ああ、早くおかずが釣れないかなあ」とぼやくのは、浦島伝説を題材とした御伽草子の主人公、浦島太郎。そこへ、「おいしいおかずがありますよ」と海面を泳ぐ亀が登場し、浦島太郎を海苔の佃煮のビンが沈む海底へ。「竜宮城のお土産」にと、玉手箱ならぬビンを片手に、太郎は亀の背中に乗って砂浜へ戻る。ふたを開けると中から煙が。御伽草子では玉手箱を開けた太郎が年老いるという設定だが、このCMでは佃煮のいい香りに圧倒され、太郎は卒倒。地上と水中との境界を表現するために、水中部分には地上部分より多少濃い色付けが施され、海面は白い線で波を打つ様子を表している。また、海中のシーンでは、浮遊する気泡を描く工夫もなされている。

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桃屋TVCM005-1960-一心太助



時間:60秒
商品名:かつを塩辛
制作年:1960年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

丸に魚の文字が入った暖簾を背景にクローズアップで登場するのは、ちょんまげ頭に法被姿の魚屋、一心太助。桶を吊るした天秤棒を肩に担いで街を練り歩き、喧嘩を見つけると「火事と喧嘩はまかしとけ」と一目散。相手にされずに跳ね返されるも、桶に並んだかつを塩辛のビンを投げつけて仲裁する。商売中の太助のもとには、かつを塩辛を求める客が殺到。その混雑ぶりは、太助中心に伸びる無数の手と腕の描写によって効果的に表現されている。自分の分まで売ってしまった太助にビンを差し出すのは、江戸前期の旗本として知られる大久保彦左衛門。場面は居間に変わり、食事中の一心太助夫妻が「酒の肴に」、「ご飯のおかずに」と団欒。「べらぼうめ」に象徴されるように、太助の台詞はいわゆる江戸っ子調で語られている。

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桃屋TVCM004-1960-猿飛佐助



時間:60秒
商品名:江戸むらさき
制作年:1960年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

煙のなかから忍法帖を口に加えて登場する忍者。自らを天下の剛健と称するも、走れば疲れて倒れ込み、岩石を動かそうとするとその下敷きに。食事を摂ろうとするも、おかずがなく、忍術で出したトリの丸焼きには逃げられてしまう。破けていた忍術帖をポイと捨て、手の平に文字を書いて海苔の佃煮を出すも、今度は忍者の右手自体が佃煮のビンに。忍者は猿飛茶漬と名乗るが、パロディーのもととなっているのは、忍術を戸沢白雲斎から学び、真田十勇士の一人として真田幸村に仕えた戦国時代の忍者、猿飛佐助。ちなみに、1959年12月に東映の長編漫画『少年猿飛佐助』が公開され、1960年7月には同作品がベニス国際児童映画祭で聖マルコ獅子賞を受賞している。

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桃屋TVCM002-1958-助六



時間:60秒
商品名:江戸むらさき
制作年:1958年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

前半は、江戸歌舞伎十八番の1つ、『助六由縁江戸桜』の助六が登場して『江戸むらさき』を紹介。歌舞伎特有の立廻りと台詞回し、そして観客の「桃屋!」という掛け声が、芝居の雰囲気をよく表している。後半では、「パパはお酒のお肴に」、「ママはサラサラお茶漬けに」といったナレーションに合わせ、海苔の佃煮の食べ方を提案。1958年は「団地族」という言葉が流行。父・母・子どもの核家族像がこのCMにも反映されている。家庭電化製品がもてはやされ、缶入りビールやインスタントラーメンが初めて販売されたのもこの年で、「手軽で重宝、経済的」というアピールは、合理性のある近代的生活に憧れる消費者の心に響いたのではないだろうか。

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桃屋TVCM003-1960-剣豪




時間:60秒
商品名:江戸むらさき
制作年:1960年
広告主:桃屋
広告会社:読売広告社
制作会社:TCJ

タイトルのとおり、日本の剣豪3人をパロディー化したオムニバス。「御用、御用、御用だ」と最初に現れるのは『丹下左膳』ならぬ丹下茶膳。続いて白馬に乗った『鞍馬天狗』ならぬお茶漬天狗が登場。この2場面の切り替えには、映画のモンタージュ技法として使われていたワイプ(エフェクト)が採用されている。そして最後に現れるのは、新国劇で辰巳柳太郎が十八番とした国定忠治。この国定忠治編は1958年から放送されており、1991年には日本テレビコマーシャル制作社連盟の「昭和の名作CM100選」に選ばれた。また、1960年には大河内傳次郎主演の映画『丹下左膳餘話・百萬両の壺』が公開され、テレビでは1959年から大村崑主演のコメディー時代劇番組『とんま天狗』が放送されていた。

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